教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 156回 当番活動の相互管理意識の育成 

学級経営案からの実践例の続きです。
係活動の育て方もありますが、ここでは、給食当番や清掃当番についての内容に絞ります。
まずは、子どもたちが低学年から続けてきた清掃活動です。
清掃の場所は学年が進むにしたがって、場所も変わってきます。
しかし、教室は学年が変わっても変わりません。
清掃活動の結果をお互いに点検しあって、清掃の在り方について考えさせます。


教室清掃については、清掃地域の違う班と相互に点検します。
点検するためには、まず、それぞれの清掃区域の掃除の仕方、きれいにする基準が必要です。


まず、子どもたちには、それぞれの清掃区域の美化活動に関心を持たせます。子どもたちの清掃風景を眺めていると、惰性的なものになっています。


まず、子どもたちと一緒に清掃活動について考えます。
教室の清掃をもとにして考えます。
教室の清掃を他の子どもたちも廊下から見学させます(学級指導)
そのあと、子どもたちに考えさせます。
教室清掃に無駄な動きはありませんか。
掃き掃除の時に、履いている人がかさなりあっている。
履いたあとを、また、違う人が履いている。
机を動かしている人と履いている人が協力していない。
教室の真ん中はよく履いているが、隅にごみが残っている。
拭き掃除、隅がふけていない。
履いているのに、同時に机を拭いてるのはおかしいのではないか。
埃っぽい中で拭き掃除をしている。


清掃活動は力を合わせるというよりは、「力を分け合う」(分業)の活動です。
一人ひとりがまわりの動きを見て、掃除していないところに移動しなければいけません。そこがむずかしいですね。
子どもたちは、役割分担を前もってしても、自分がしたいところだけを掃除しています。楽な活動をしています。


こうして、実際の清掃活動を見て、みんなで考えることが必要です。
おそらく、子どもたちが友達のしている掃除をはじめから終わりまで見るということはないでしょう。
トイレ、廊下、階段、特別教室なども時間をつくって、「掃除観察研究会」を実施します。自分がしているとわからないことが、友達の活動を見ているとわかってくるものが多いですね。


こうして、掃除の美化ポイントも考えさせます。
それがお互いに清掃後の点検ポイントになります。
時間のかかる活動ですが、具体的に考えさせることで、気づいてくることが多いですね。


相互点検は、各自の清掃が終わってから、他の場所(前持って決めておく)に移動して点検します。
その結果を終わりの会に代表が報告がします。
その時に注意することは、問題点の発見よりも、より美しく、ていねいに掃除しているところを発見させるようにします。
問題点だけの指摘は閉鎖的なものになりがちですが、よかったところを指摘しあうのは、開放的な空気になります。


清掃時間については、はじめから、時間を問題にするとていねいさがなくなってきます。
集中と活動の分担で自然に早くなってきます。


たかが掃除だと思わないでください。
大切なことは、どのような活動においいても、その向こうに中距離目標があることです。
清掃を通してどのような子ども、集団を育てるのか考えます。
ふしぎなことに、子どもたちが自分の所属している学級が楽しいと感じてくると、清掃活動を前向きにするようになります。
いわゆる「ぼくの学級」という意識が芽生えてくるからです。

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