教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 866回 2年国語「スーホの白い馬」第5時 学習指導計画



1.本時目標
白馬とともに競馬に出て一等をとったにもかかわらず、殿様に白馬をとられてしまった 
スーホの悔しさと悲しさを読み取る。


2.教材解釈
〇「なかまのひつじかいたちは、スーホにすすめました」
どうして、すすめたのだろうか。スーホの育てた白馬がすばらしい馬になっていたことを誰もがみとめていたのだろう。


〇「スーホは、かっとなって、むちゅうで言いかえしました」
どんなことにかっとなったのだろうか。白馬を売れというとのさまの理不尽さに怒ったのだろう。
もちろん、約束を守っててくれなかったこともある。
身なりで判断して、約束を守ってもらえなかったこともあるだろう。
とのさまに反抗するということは、命を奪われるという危険を冒していることになる。
それにもかかわらず、「かっとなって」というスーホの様子と気持ちを想像させたいも のである。
ふだんのスーホでは考えられない行動が見られる。
このスーホの命がけの行動が、白馬がスーホのもとに命がけで帰ることになるのだろう。


〇白馬をとられたスーホの悲しみは、想像を絶するものがある。
白馬に「ぼくはおまえといっしょだよ」といった約束が果たせな
い悔しさ、白馬が自分と離れて寂しい思いをしているという気持
を考えると落ちつかなかっただろう。


3.指導にあたって
〇中心となる文
「なかまのひつじかいたちは、スーホにすすめました」(きっかけ)
「スーホは、かっとなって、むちゅうで言いかえしました。」(抵抗)
「白馬をとられたかなしみは、どうしてもきえません」(落胆)


4.指導展開


問題 白馬をいのちがけでまもろうとしたスーホの行動ときもちをよみとろう。


独り読みから全員で深める
①場面を読んで、白馬をまもろうとしたスーホの行動し気もちがわかるところに線を引く。
②子どもたちがみつけたところを発表。
「かっとなって、むちゅうで言いかえしました。」
➡相手はとのさまであるとは何を意味するのかを考えさせる。殿様への反抗は「死」を意味する。
・白馬が売られそうになったこと
・約束が全くちがったこと
・スーホをとられること 悔しさ


☆「おおぜいになぐられ、けとばされて、気をうしなってしまいました
➡「気を失った」から、あきらめることなく最後まで戦ったということがわかる。
☆「友だちにたすけられて、やっとうちまで帰りました。」
☆「スーホの体は、きずやあざだらけでした」
☆「何日かたつと、きずもやっとなおってきました。」
これらの文を子どもたちが拾ってくる。
言葉を通して、4次分なりの想像を広げることが大切であ。


すべての子どもがみつけるだろう。
ふだんはどんな子であったかを考えさせることで「かっとなって」という気持ちがわかるだろう。
たった一人のスーホに大勢のけらいが殴ったのだろう。
逃げようと思えばにげられたはずなのに。
スーホには覚悟ができていたのかもしれない。


自力で帰る力は失うくらいスーホは抵抗したことがわかる。
体の様子を想像することで、白馬への強い想いを感じ取らせる。


次の日によくなったのではなく、きずが治るまで何日もかかるぐらいひどい傷であったことがわかる。
全員読み
白馬をとられたスーホのかなしみは、どうしてきえなかったのだろうか。
それぞれの意見を出し合って話し合う
➡子どもたちの自由な思いが交流できるようにする。
 低学年では、一人ひとりの発表を先生が受け止める。
 そして、その考えにあなたと同じか違うかを意識させながら発表を促す。
 考えを合わせる、比べるという繰り返しになる。


子どもたちの意見として
・大切に育てた馬と別れたから
・白馬を無理やりにとられてしまったから
・いっしよにいようと約束したから
・スーホがいないから白馬はさみしがっているだろう。
・さくに入れられて自由がなくなっているだろう。
とのさまにたいして、スーホが抵抗してもどうにもならなかった悔しさ。
子どもたちに、スーホの白馬に対する深い想いを感じ取らせるようにする。



スーホは自分がとのさまからなぐられたことよりも、白馬のことを先に心配していることに気付かせる。
「スーホの白馬」という題名が「白馬のスーホ」とひっくりかえしたらどかと問い直してみるのもおもしろい。
スーホの白馬であり、白馬のスーホであるという愛のつながり。
お互いが相手のことを優先し合う姿の中に友達の姿を置き換えられたらいいのかも。

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