教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想861回 2年国語「スーホの白い馬」 学習指導

指導目標
◎場面の様子について、登場人物の行動を中心に想像を広げながら読むことができる。
 ➡「想像を広げる」ことが今の子供たちにとって難しいようだ。
   幼い時から映像文化に慣れ親しんだ子どもたち。
   文字言語から入るのに比べて、想像することが限られている。
   文字から想像することは、子どもたちの体験をもとにしている。
   映像は、すでにイメージ化されている。
   言葉から想像する力は当たり前のことでありながら、力を入れ
   て指導されていない。
   相手の言葉から相手の気持ちを想像することに近い。


具体的には以下の二つのことである。
〇生まれたばかりのころから心をこめて子馬の世話をしたスーホと,その思いに応える白馬の心の結びつきをスーホの行動を中心に想像を広げながら読み取ることができる。
○スーホと白馬の心の結びつきを読み取るために 「組み合わせた言葉を読む」 「繰り返しの言葉を読む」「会話文を読む」「前の場面とつないで読む」読み方を身に付けることができる。


2.教材について
本教材は,貧しくて寂しい身の上だが,大草原の中でのびのびと育った,たくましく優しいスーホと スーホに大切に育てられ その思いに応える白馬との心の結びつきを描いた物語である


文章構成は,冒頭6行が全体の「前置き」で,物語全体は「馬頭琴」という楽器の由来話となっている。
そして 結び の3行で余韻を残して閉じている。
 ➡説明文は長い段落が重要である。
  筆者がそれだけの字数をかけて理解してほしいからである。
  それに比べて、物語文は、短い段落に多くの余韻を残している。
  十分に想像することができる。


前置きと結びに挟まれた部分は 6つの場面構成(スーホと白馬の出会い・羊を守る白馬・殿様に白馬をとられたスーホ・殿様から逃げ出す白馬・スーホのところに戻って死ぬ白馬・死んでもなお一緒にいるために馬頭琴を作って弾くスーホ)になっている。


2年生にとってはかなりの長文であるが,起伏に富んだ展開に なっているため,子どもたちは物語に引き込まれながら読み進めることができると考える。
主人公に寄り添って、場面の大きな展開を読み取ることができる。


①「ある日」 「あるばん」など時間を表す言葉に着目して,出来事の順序や場面の移り変わりをとらえる読み方。
 物語の時系列を押さえることは大切である。
 ➡「ある日」「あるばん」とはいつのことかと質問する子がいる。
  しかし、この「ある」は「特定できない、特定するに及ばない
  物事をさしていう言葉」
  したがって、特定される日よりも「ある日」のほうが、想像がふく
  らんでいく。


②「たきのように」のたとえを読んだり 「とぶ+おきる」の複合語を読んだりすることで,スーホと白馬の様子や気持ちを想像しながら読む読み方。
 ➡複合語は、想像する力を身につけるために活用できる。
  「とぶ」と「おきる」の間を自由に想像できる楽しさがある。


③繰り返しの言葉や会話文を読んだり,前の場面とつないで読んだりすることで,スーホと白馬の強い心の結びつきを読み取る読み方を身に付けさせるのに適した教材である。


指導にあたっては,まず,題名「スーホの白い馬」の「の」に着目させ,スーホが飼っている大切な白馬であることをとらえさせる。


そして,冒頭の「いったい,どうして,こういう楽器が できたのでしょう 」という問いの文から,読み通しの目をもたせる。


その時,冒頭にスーホの 白い馬は登場しないことから,馬頭琴とどんなつながりがあるのだろうという疑問をもたせる。


予想の段階では,時間を表す言葉に着目させ,6つの場面に分けさせる。そして,スーホの言 動をもとに場面ごとにあらすじをまとめさせる。
学習計画の段階では,予想をもとに,場面ごとに詳しく知りたいことやよく分からないことを 出し合い,スーホと白馬の心の結びつきを読み確かめることを確認し,計画を立てる。


読み確かめの段階では,組み合わせた言葉を読んだり,会話文を読んだり,前の場面とつないで読んだりしながら,場面ごとにスーホと白い馬の心の結びつきを読み確かめていく。

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