教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 855回  お楽しみ会 子どもの文化の創造

二学期の終わりには、お楽しみ会を開く学級が多くなります。
どのような内容になるのでしょうか。
聞くところによると、球技大会やゲーム、カラオケ、クイズ大会が多いとのことです。
いつも変わりばえしない内容です。
子どもたちの息抜きとして計画されるならば、そのような内容でもいいでしょう。
ところで、お楽しみ会に別の意味を持たせてみてはどうでしょうか。
学級文化の創造です。
子どもたちの今までの体験をこえる内容の創造です。


子どもたちが体験したお楽しみ会の内容をできるだけ(できればすべて)捨て去ります。
自分たちで今までしたことがないようなものを考えさせます。
クイズであっても自分たちでテーマを決めて、調べて問題を考えます。
クイズのジャンルにおいて、今まで出題されていないものに挑戦させます。


まず、お楽しみ会をするにあたって、大きなテーマを考えさせます。
今まで私の学級の子どもたちが考えだしたテーマは次の通りです。
「宇宙に行ってみよう、宇宙の旅」
宇宙空間を旅する、星に遭遇する、子どもたちはいろいろな想像を広げます。


お楽しみ会を実施するとき、大きな枠組みはこちらで提案します。
最初は先生が提案しますが、それを参考にして子どもたちが考えだしていきます。
テーマを全員の話し合いで決定する。
全員でつくる教室空間を考える。
テーマにそって班で協力して一つの出し物をつくる。
出し物別に個人がグルーブをつくる。
そして、個人単独で発表するのもあり。
すべては、テーマとどこかでつながっていることが条件です。


子どもたちは教室を宇宙空間にします。
ロケット、宇宙ステーションを創作しましす。
班の内容はいろいろです。
どこかの星に着陸した寸劇、宇宙をテーマにした歌づくり
宇宙人から見た地球の物語  宇宙の果てまで行ってみたという寸劇など


他にも学年によって違うテーマがありました。
「もし、○○になったら」「もし、○○がなかったら」というテーマもおもしろかったです。
自分がなりたいものになって自分のドラマを作ります。
なりたい衣装、着ぐるみをつくります。もちろん、古代の世界で恐竜になっていたらという設定もでてきました。


私が最も印象的だったのは、卒業を控えた6年生が3月に実施したお楽しみ会です。
6年生のこの時期は7割以上子どもたちに任せることができます。
授業においても子どもたちが主体的に学習を進めるようになっていました。
先生の指導は表にはほとんど出ません。
もちろん、縁の下では、十分なサポートをします。
その時のテーマは、「十年後のぼく、わたし」でした。
今から大人になった自分を想像します。
どんな仕事をしているか、どんなことに興味をもっているかなど、職業を中心に夢を描きます。


その姿を子どもたちは、自分で絵に描きたいという結論になりました。
そこで、私は、どうせ描くなら等身大の自分を描くように提案しました。
その絵を教室の側面にはりました。(圧巻でした)


以上は、ほんの一例です。
私は、勉強で培った興味関心、探求心、協力しあうことを生かして、語ともたちだけの文化を創造することは、一人一人の子どもにとって大きな自陣になります。


落語 漫才 ダンス 歌 コーラスグループ結成 紙芝居 人形劇 影絵など
一年間で一通り実施しました。
毎月一回のお楽しみ会を実施しました。
子どもたちを勉強の枠の中だけで育てるのではなく、その枠をこえられるようになることが、生きてはたらく力になります。

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