教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 783回  授業における発問

発問は、授業を構成するときの骨組みである。
一時間の授業において、3つの発問で構成すると、学習過程がわかりやすくなる。


発問の類別として、大きく二つある。
一問一答  答えが単語 あるいは文章の場合。
一問多答  答えが単語 あるいは文章の場合。


一つずつ説明する。
一問一答単語型
T「このグラフは何グラフですか」 P「はい、おれ線グラフです」
この発問の応答は、単語でしか答えられない。
単純な知識確認の発問である。
子どもたちの理解を確認する時に使う。
質問も発問の中に入れる。


一問一答文章型
T「このグラフをみて、線はどのようになっていますか」
T「まさるくんは、次にどうしましたか」
既習内容の確認、読み取りの結果について使う。


以上の発問は、それなりに意義はある。
ただし、授業において、連続使用すると、子どもたちは活気を失う。
沈滞ムードをつくり、先生中心の授業になることが多い。


一問多答単語型
T「家庭で使われている電気器具には゛どんなものがありますか。」
P「テレビがあります」 「冷蔵庫もあります」「掃除機もあります」
子どもたちが単語によって答えが並べられていく。
知識、経験のなかから、子どもたちが順次追加していける。
答えが単語として並立している。
学習に誰もが参加できるメリットがある。


それとは違って、答えの単語が対立する場合がある。
T「A県とB県とでは、どちらか広いですか」
この場合は、A県、B県という問いであるから、答えが対立することになる。
子ども質の能力に関係なく発表することができる。
これらの、発問は導入段階の興味づけに使ったり、補助的な発問に使ったりする。
しかし、この発言によって、学習が深い思考を通して新しい認識が生まれることはない。


一問多答文章型 答えが並立する場合
T「○○に対しての思いやりは、文中のどの部分から読み取れるか」
子どもたちが自分で読み取ったこと、感じたことを自由に発言する。
学習の深さに関係なく答えることができる。
子どもの個性、能力に応じて、並立的に追加していける。
子どもたちに初発の感想を求める場合に使われる。
この答えが順次でてくるなかで、微妙な点で対立にかわることがある。


一問多答文章型 答えが対立する場合
T「豆太は、大好きなじさまが死ぬほど苦しんでいたから夜道をはだしでかけていったのかな?それともあわてていたからかな?」
子どもが、経験、知識、感覚をフルに使って自分の見解を発言し向けるようにする発問である。
多様な対立意見がだされることを想定した発問である。
子どもたちがお互いの考えに刺激を受け活発な話し合いが展開される。


並立的に子どもたちの考えを並べさせる場合。
対立的に子どもたちの考えを刺激しあうようにする場合


発問によって、子どもたちの考えをどうしたいのか。
聞き出すだけなのか、並べさせるのか、対立させるのかを考えて発問を考えることが大切である。

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