教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 781回 ICT教育の導入 本当にいいのかな

ICT教育の ICTは「情報通信技術 」のことである。
文部科学省は、この教育を進める時に次のように伝えている。


もはや学校のICT環境は、その導入が学習に効果的であるかどうかを議論する段階ではなく、鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものになっていることを強く認識する必要がある。」(文部科学省)
ICT化が進んでいる変化の激しい社会を生き抜いていくには、ICTを活用し、情報収集や判断、解決する力が必要になるということである。


簡単にICT教育の目的をまとめると
世の中の事象を情報との結びつきとしてとらえる。
情報及び情報技術を適切に活用して問題の発見と解決をすることができる。
それらを通して、自分の考えを形成していく。
そのために、情報活用能力を養うことを目的とする。


私は、教育の世界に新しいものが導入されるとき、今までの歴史を考えると、先生方の要求から導入されたものは少ないと認識している。
教育の外からの要望において、導入されていることが多い。
特に、教育機器はそうである。


今であった教育方法を古い、遅れたものであると言わんばかりである。
果たして、ICT教育は、教育方法としては新しいが、本当に今までの教育にとってかわるものだろうか。


ICT教育のメリットとしてあげている一つに「生徒のモチべ―ションが上がる」としている。
画像や動画を活用したわかりやすい授業を行うことができる。
それによって、生徒の興味関心を高めることができ、意欲的な学習が期待できというものである。


画像や動画は、教科指導において必要な時がある。
しかし、今までもテレビやネット動画を活用されている学校や先生がおられる。
それは、子どもたちに理解してもらおうとする想いからである。
ただ、黒板の半分近くスクリーンがある電子黒板においいては、その準備が簡単で活用しやすいというメリットはある。


私は、「生徒のモチベーションが上がる」とする言葉に引っかかる。
今までの授業では、モチベーションが上がらなかったような誤解を受ける。
もし、あがらなかったのなら、授業方法の何が問題であったのかを振り返る必要がある。


従来の授業において、モチベーションがあがらなかったのは「教員からの一方的な授業」があったからだとしている。
これを聞いて、疑問と憤りを感じられなかった先生もおられるだろう。


ICT教育の技術が先進的であっても、教育として進んでいるのかは疑問である。
企業を含めた社会から要請があるのだろう。
今の情報化社会において、子どもたちにとっても必要な技術になることは理解できる。
けれども、今までの教育を否定して新しいものを導入することには疑問をもつ。
かつて、「ゆとり教育」の時も過去の教育を否定して導入されたが、今となっては、その時の勢いはなくなっている。

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