教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 729回 4年国語「白いぼうし」 絵をかくように音読

ファンタジーのおもしろさを十分に味わえる。
不思議だなあ という感覚が芽生える作品である。
文芸教材の中心になるのは人物である。
松井さんの目と心に寄り添って読む。
     ➡松井さんが見ているもの、心を動かしているものは何か
     ➡同時に松井さんをわきから見ている。第三者の視点。
松井さんの人柄「やさしさ」「思いやり」が流れている作品である。
松井さんのやさしさと、そのやさしさに根付く「豊かな想像力」と「行動力」が繰り返し描かれて
いる。
やさしさとは、相手の立場にたって想像することでもある。


人間をどういうふうにとらえさせるか、認識させるかということが大切。
物語は、最終的には人間を学ばせることである。


ファンタジーのおもしろさ。
「不思議だなあ」と感じるのは、どこからきているのかをさぐるおもしろさ。
現実ではありえない世界の中に子どもたちが入っていく。


題名「白いぼうし」を中心に
「松井さん」「男の子」「ちょう(女の子)」が結びついている。
「白いぼうし」を中心として、すべてが繋がりあっている。


「白いぼうし」は、松井さんのやさしさの象徴である。
作品は、松井さんのやさしさを色やにおいを背景にして鮮やかに描かれている。
その元にあるのは、おふくろさんが松井さんに送ってくれた夏みかんである。
初夏にふさわしいみかんのかおりが、この物語の始まりである。


この学習の指導のポイントを4つに絞る。
(1)ファンタジーのおもしろさ、「不思議だなあ」と感じるのは、どこからきているか。
   不思議だなあと思ったところを見つけ、その根拠を読み取る学習。
   この場合、子どもたちが問いをつくり、それを追求する形になる。


(2)人の心の痛みや悲しさ、つらさが分かる松井さんの人柄を読み取る。
   人間を学ぶ学習が物語文の読解である。


(3)登場人物の行動や心情、場面の様子などがわかるように音読することができる。
   音読とは、文字を通して自分の景色を描くことができることである。
    絵をかくように音読する。(声という絵の具で景色を描く)
  そのためには、表情豊かな言葉を味わえるようにする。


 この作品は、季節感、色、かおり、情景などが描かれている。
 言葉から情景のイメージを広げる学習にする。


(4)様子を豊かに表す言葉に親しむ。
  ちょこんと おいてあります。
  ふわっと飛び出しました。
  じろじろ見る
  ぐいぐい引っぱる
  せかせかと言いました。
  みるみる流れていきました。
  シャボン玉のはじけるような小さな声
 できるだけ辞書を使わないで様子を想像する。


さらに、複合語として
たくし上げる  つまみ上げる  ふり回す  まい上がる  ぬい取る  
通りすぎる  つっ立つ  乗り出す  こみ上げる  ふり返る  そめつける


最初の物語文の学習は、音読を通して内容に入れるように指導する。
一年間に物語文は5つある。
最後の物語文の指導において、4学年の国語目標が到達できたらよい。
最初から無理をしないようにする。
無理をすると、「文章を楽しむ」ことを奪うことになる。

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