教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 727回 気持ちの伝え方 4年生の国語教材「お礼の気持ちを伝えよう」 その1

「話し言葉と書き言葉が遊離されてきている」と言われている。
以前は、話し言葉がそのまま書き言葉にできた。
しかし、今の省略言葉や単語のみを使う話し言葉は、そのまま書き言葉にならない。
メールが日常でのコミュニケーションツールになっている。
気持ちを伝えきれていない実態がある。
伝言さえ伝わればいいので仕方がない。


4年生の国語教材に「お礼の気持ちを伝えよう」という学習がある。
指導目標として、「書く内容の中心を明確にし、内容のまとまりで段落をつくったり、段落相互の関係に注意したりして、文章の構成を考えることができる。」とある。
さらに、「相手や目的を意識した表現になっているかを確かめたりして、文や文章を整えることができる。」という目標がある。


「相手や目的を意識した表現」は、メールでは深く考えられていない。
さらに、手紙を書いて送るということが少なくなっている。
メールは短い文で簡単に要件のみを伝えることが多い。
しかし、相手を思いやって気持ちが伝わるような文章を書くことの意義は大きい。


 手紙文の学習において特に力を入れたい内容がある。
   一つ目は、「季節に関する言葉、文章表現」である。
季節感を表す文章表現を考える。・・・技能
これを通して季節を感じとる心を育てたい。…人間目標
 二つ目は、相手の様子をたずねたり、
相手を気遣ったりする言葉を考える。・・・技能
         これを機会に、相手を思いやる心を育てたい。・・・人間目標


言葉は人から人へ気持ちを乗せて伝え合う。
書き言葉を通して、気持ちを相手にいかに伝えるか、その難しさに気づかせる。


指導のめあてとして
お世話になった方に、手紙でお礼の気持ちを伝えるというねらい。
「お世話になった方に」とあるが、子どもたちはどのような人を思いうかべるだろうか。
自分が誰かに世話になったという感覚に乏しいのではないか。
日常のすべてが当たり前のことだと思っているから。


そういう意味では、「誰に、どのような世話になったのか」を振り返らせる機会になる。
それは、子どもたちが周囲の人たちへの感謝の心を意識させることになる。

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