教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 725回 前担任の指導の賞味期限は 一か月程度

「今年は、いい学級を受け持つことになりました。前の先生がしっかりと子どもたちをしつけているので手間がいらないです。楽勝ですね。」という先生。


気の毒なことに、連休明けぐらいから、学級の子どもたちへの愚痴ばかり。
前の担任の指導効果は、長くて1か月。
2年生は、一週間で崩れる。
一年生の担任の先生が嘆きます。
「あれだけしっかりとしつけておいたのに、どういうことなの?」と不快感を露わにする先生。
子どもたちは刹那的である。
その都度、担任の先生に合わせている


一人の担任の指導で、身についたすべてのことが、一生変わらなかったとしたら恐ろしい。
もちろん、身についたものも多くあるが・・・。
いろいろな先生に触れることで、子どもたちは、多様性を学びとる。


新しく担任を引き受けるとき、荒れた学級を引き継ぐのは大変である。
しかし、しっかりとしつけられて、高い学びの力を身につけた学級を引き継ぐことの方が難しい。
前の担任の先生をとても慕っていた子どもたちが多い学級である。
学びの楽しさを味わっている子どもたちである。
学級の活動のおもしろさを知っている子どもたち。
そんな子どもたちを引き受けるときのほうが苦労する。


引き継ぐ担任は、それ以上の喜びと楽しみ、やりがいを子どもたちに提供しなければならない。
そうしないと、子どもたちの意欲が急降下する。
子どもたちは、顔にはださないが、意欲は低下する。
最悪は、子どもたちの荒れにつながる。


このような学級を持つときに留意すべきことがある。
前の担任の先生をされたことを絶対否定しないこと。


前の担任の先生、学習の仕方、生活の仕方を「新しく学級が変わったので違うことをします」ということは、子どもたちが慕っていた担任を否定することになる。
子どもたちが培ってきた、積み上げてきた行動様式を大切にする。
したがって、4月の一か月は、子どもたちの主張どおりの学級生活を受け入れていき
子どもたちの思いを大切にしながら共に築いていく。


前の先生のしつけに寄りかからないこと。
 何もしなけばそれらのしつけは壊れていく。
 静かな学級は、やがて座地禅としていく。
 落ち着いて行動していた子どもたちは乱れてくる。
 真面目に勉強してたいた子どもは、怠け始める。


 担任は連休明けに愚痴をこぼす。
 前の担任の先生がわるいのだね」


しかし、一か月もたてば、目の前の子どもたちの全責任は担任にある。

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