教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 683回  考える 覚える 慣れる まとめるノートづくり

学び方の基礎を指導。
教科書をどのように活用するか。
復習と予習のあり方について
宿題としての漢字練習の仕方
これら以上に、大切なのは、考えるノート指導。


学び方の基礎は独り勉強の仕方にある。
「一人」ではなく「独り」という漢字を使う。
「独」は、「誰にも頼らないで」という意味が込められている。
私は、「独り勉強」「独自学習」(斎藤喜博先生)と呼んでいる。
独り勉強の基本は、如何に他人の力を借りないか、使わないかである。


授業において、すぐに複数で学習相談をさせていることがある。
独りでじっくりと考えさせない。
少しばかりの時間を与えたあと、班で、全体で考える授業になる。
独り思考の時間が軽視される。
特に、1学期は独りで耐える。
独りで頑張りぬく。
それらの姿勢を少しずつ育てる。


学校の勉強の役割の一つは、生涯学習の基礎づくり。
それは、独りで学びぬくこと。
みんなで智恵を寄せ合って考えることは必要だが、それは、前提として一人一人の考えが確立されている場合である。


ノートのはたらきを考えましょう
考えるノート 覚えるノート 慣れるノート まとめるノート、そして備忘、メモをとる。
漢字練習は覚えるノート。
計算練習は慣れるノート。
調べたことをまとめるノート。
一番多く使わなければならないのは、考えるノート。


 算数ノート、数字や式だけではない。
間違いのあと、いろいろな考えを書いたノート。
誤答分析ノートや学習の振り返りノート・・・いろいろある。
学習内容によっては、数式よりも作文の方が多い。


国語のノート、最も多くのページを必要とする。
独りで読み深めるノート。
土台学習としての新出漢字、言葉の意味学習など調べるノート。
読み深めの学習においては、一般に書き込みといわれるものをノートに書く。
子どもによっては、「ごんぎつね」という物語の学習で二冊のノートを使った子がいる。
半分以上の子どもは一冊ぐらい使う。
書いて考える、考えるために書くという作業が子どもにとって思考を練る上では有効。


理科のノート、科学的な思考を形成する上では大切なノート。
単に、わかったことをまとめるノートではない。
先日、家に来られた先生が、「ひょうたんが発芽していなくて観察ができないので、教科書のひょうたんの成長の絵をノートに写させてテストをしたらいいよ」と、世話係の先生が言われたことに驚いておられた。
テストのための学習になっている。
子どもたちの理科嫌いは深刻になるばかりである。


ノートの左側三センチぐらいに縦線をひく。
そこには、学びの順序にしたがって、「問題(疑問)」「予想(仮説)」「話し合い」「実験・観察計画」「実験・観察」「結果」「考察(考えたこと」などを書く。
言葉は学年に応じて変える。


社会科ノート。
最初にあるのは、課題、問題、疑問。
かつては「さしすせそ学習」という学び方が提唱された。


問題をさがす しらべる すいりする  せいりする それを使って広げる
頭文字が「さしすせそ」になる。
問題や課題にたいして、自分の考えを持つ。
ここが大切だが、すぐに調べるのではなく、自分の考えをもってから調べる。
課題に対して、自分なりの予想、日常経験をもとにした考えなどを書く。


次に、資料を使って調べる。
調べたことは、ノートに書き込む。
何を調べるかに照らした内容だけを資料から取り出す。
何でも写し出すのはやめる。
わかったことをもとに推理する。


どの教科のノートもたくさん使うことを奨励。
単元ごとにペーシを打たせる。
ノートのペーシ数よりも書かれている内容が大切なことは言うまでもない。
しかし、初期において、ページ数を競わせることも必要である。
まず、書き始める。
そして、書きながら考える。
書いた後に再考する。


そうすることで、ノートにどんなことを書いたらよいかを考えるようになり、自分の勉強を広げていく。
ノートづくりは、生涯使えるものである。

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