教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 575回 詩「わたしと小鳥とすずと」指導

実際の教材をもとにして、授業の在り方を考えていきます。
教材分析については、私の力量不足で至らないことも多いです。
これからいろいろな学習指導案について提案します。
私が授業で最も大切にしてきたことは、教材と子どもとをつなげることです。
教材のどこを、どのようにつなげていくかという点についてお話します。
今回は、3年生の二学期最初の教材「わたしと小鳥とすずと」です。


1.指導目標
◎文章を読んで感じたことや考えたことを共有し、一人一人の感じ方に違い
 があることに気付くことができる。
〇文章全体の構成や内容の大体を意識しながら音読することができる。
〇文章を読んで理解したことにもとづいて、感想や考えをもつことができる。
★詩の組み立てや内容がよくわかるように
 言葉の抑揚や強弱、間の取り方などに注意して音読することができる。
   ★作者が何を伝えたいのか、どんなことに感動しているのかを読み取る。


2.教材とわたし
 『私と小鳥と鈴と』の中で、みすずさんはみんなちがって、みんないいと歌ってくれている。
 みんなちがって、みんないい。あなたはあなたでいいのです、といわれているようで、幸せな気持ちになる。
しかし、次のことがポイントである。
ちがっていいから、それぞれ好き勝手なことをしてよいというのではない。
みんなちがって、みんないい。というのは、一人ひとりの個性が輝いている。
どの人も大切な存在だということである。
 みんなちがって、みんないいを、ちがうことばでいうと、“まるごと認めて、傷つけない”、どのような人でも受け入れていく姿である。


今、パラリンピツクが開かれています。
選手たちは、まさに、金子さんの姿を具現化しています。
私は、開会式を見て感じました。
彼らは、だれよりも辛い地獄を経験してきた人です。
その底から這いあがってきた姿を私たちは目の当たりにしています。
マスコミが時々、「多様性」と言う言葉で締めくくろうとしますが、私たちと並列に見ることは私にはできません。
オンリーワンと言う言葉があるなら、多様性でくくる必要はないと思います。
多様性と言う言葉には、どこか上から目線を感じます。
私は、彼らの微笑みの中に、私では計り知れない人間の深みを感じます。



話を戻します・
傷つけないとは、まるごと認めて愛することです。
学校の中で、職場の中で、自分の心と一番遠い人に、一番心を飛ばすことです。
それなしには「みんなちがって、みんないい」は成り立たないです。


3.指導にあたって
○金子さんの詩は暗唱させたい。心のどこかに言葉として入っていることが
それぞれの子どもたちの人生の中で役立つことがあるかもしれない。
詩を覚えることは、心の栄養を取り入れることである。
人生に悩んだ時の道案内人である。


 ○「みんなちがって、みんないい」という解釈を、わがままでもいい、けんか
しやすい、すぐにかっとなるという意味あいにとらないように注意する。
 ○「わたしと小鳥」の違い、「わたしとすず」の違いを読みとった上でみんなちがって、
みんないい」という主題を考えさせる。


★指導過程として
 導入 
詩を読む と 詩を味わうの違い
 とらえる 
詩を何度も読む  全員 独りで 全員で 独りで 4回繰り返す
子どもたちにこの詩の課題を最初にぶつける。
 課題として「みんなちがって、みんないい」とはどういうことかを予想する。
 確かめるために、詩の内容を深めていく。
    わたしと小鳥 わたしと鈴 を対比させて考える。


まとめる  
自分の気持ちや考えを再確認➡表現活動 朗読と暗唱
子どもたちにこの詩の課題をもとに、自分の生き方を振り返る。


4.指導の展開
導入
●詩を味わう」と「詩を読む」どのように違うのでしょうか。
 ・読むと味わうの意味を考える。
食べものを口に入れるとき、「味わって食べなさい」と言われることがあります。
この時の「味わう」は、ゆっくりと食べ物のおいしさをかみしめなさい」という意味です。
詩を味わうという意味がなんとなくわかるでしょう。・・・
「詩の意味を深く感じたり考えたりすること」です。


☛まず、詩を読んで味わってみましょう。
 ゆっくりと味わうようにして3回読みなさい。
 全員起立・読み終わったらすわりなさい。
  ゆっくり味わって読むので、座るのが遅くなりますね。



いきなり課題を提示
題名は「わたしと小鳥とすずと」です。
この詩は大きくいくつに分かれていますか。
最後に次の言葉があります。
「みんなちがって、みんないい」とはどんな意味だろうか。詩を読んで考えましょう。
 ※3連からできていることを知らせる。
何回も読んでノートに考えを書かせる


ふかめる
自分の考えを発表しよう。
 みんな同じ考え
 ちょっと違う考え
※この二つを明らかにしておく。


第一連
●わたしと小鳥を比べています。どんなことがちがっているのですか。
小鳥
空をとべるが地面をはやく走れない。
わたし
とべないが地面をはやく走れる。
第二連
わたしとすずを比べています。どんなことがちがっているのですか。


わたし
きれいな音はだせないけど、たくさん歌を知っている。
すず
きれいな音は出るけど、たくさんの歌をしらない。


最後に、「みんなちがって みんないい」の意味を全体で考える。
  ・違いを認めあう
  ・それそれぞれの良さがある。


まとめる
音読してまとめる。
自分を振り返って感想をまとめる。
次時までに暗唱してくること。


以上が概要です。
授業の流れは、問題解決学習にします。
子どもたちは、自力で読んで考えさせるようにします。

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