教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 541回  子どもを包み込む 空気の流れ

楽しい雰囲気づくり
どんな考えもバカにしたり笑ったりしないのは当たり前のことです。
子どもがまちがった発言をすると、「そんなこともわからないのか」と笑われることもあります。
そこまでいかなくても、間違った子に対して、しらっとした空気が漂います。
先生は、子どもの一人が間違った時、その周りの子どもたちの表情を察知します。
特に、4月当初は、どの子が集団から疎外されているかがわかるのは、その子が発言した時の周りの表情からです。


子どもたちが発言を間違えたり、声が小さかったりする時、先生が誰よりも早くその子の言動を受け止めます。
特定の子と集団との間のクッションになります。
逆に、「どうして大きな声で話せないの?」
「もっと大きな声で話しなさい。」
このような指示は、逆効果です。
まわりの子どもたちは、先生のような見方をしてもよいのだと判断します。


閉鎖された学級集団は、特定の集団価値感で動いていきます。
子どもたちの見方も固定化されます。
お互いの良さを必死になって見つけられるように指導します。
そのためには、先生が先頭にたって実行します。
子どもたちの友だちに対する辛辣な言葉を注意することが必要です。
しかし、それよりも先生が問題を抱えている子どもたちの受け皿になる覚悟が大切です。
楽しい雰囲気づくりの元にあるのは、「安心」と「共感」です。


しっとりとした雰囲気
子どもたちに、静かでゆとりのある時間の流れを確保します。
一人一人がゆとりをもって反省、振り替えられる場をつくります。
一方的に責めたり、責められたりしないようにします。


しっとりした雰囲気は、お互いの話をじっくりと聞き合うことから生まれます。
まず、相手の気持ちを汲み取って耳を傾けます。
最後まで聞き取ることで、話し手は安心します。
話し手の話を途中で折らないにします。
眼差しで聞き合うことでお互いの安心感が生まれます。
聞く指導が形式的に行われることが多いです。
聞くとは、自分も相手も心の門を開放することです。


先生、子どもにとっては、聞くことが最も難しいです。
聞くことは、自分を無にすることです。
相手の言葉に心を寄せます。
心を寄せるとは、話し手の思いを想像することです。


張りのある雰囲気づくり
目標に向かって、子どもたちが協同的に向かっていく姿です。
これは、授業そのもので実現します。
学習課題に対して、全員が参加します。
自分なりの考えをだしあって、切磋琢磨します。
時に厳しい空気も生まれます。
学び合うとは、お互いに誤解しあうことです。


学習課題が子どもにとって魅力的であること。
学びの過程が子どもたちに明確に伝わっていること。
課題に対して、子どもたちが自分の考えを持っていること、持たせること。
課題追究において、子どもたちの多様な考えを受け入れること。
先生の一方的な入力(教える)ではなく、子どもたちの出力(対話・討論)の場面が設定されていること。


子どもたちが自分の考えや思いを自由に出し入れできるようにします。
張りのある雰囲気は、そこから生まれてきます。

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