教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 540回 子どもの相互不信が 学級のルールをつくる

どの学級にもルールがあります。
4月の最初にルールをつくります。
学級によっては、たいへん細かいルールをつくります。
断っておきますが、ルールは必要です。
ルールを否定するものではありません。
ただ、学級の子どもたちの成長とルールづくりについて考えてみるのです。


子どもたちは、学級に問題が起こるとルールをつくろうとします。
「給食中に立ち歩かない」というルールは必要です。
ただ、これをルールとして実行するか、暗黙の了解として実行するかの違いがあります。


自習中におしゃべりをしない。
掃除の時は道具で遊ばない。
友だちの悪口を言わない。
友だちをいじめない。
なるほど、大切なことではあります。
しかし、マイナス行動をルールで抑制しようとすることで解決するのでしょうか。


ある程度のルールは必要です。
しかし、ルールがあまりにも多くなる学級の実態はどうなのでしょうか。


子ども同士の相互不信が集団内に細かいルールを作るようになります。


そして、ルールをチェックする朝の会や終わりの会が生まれます。。
〇〇くんは、ルールを守っていませんでした。
今日のルールを守ることができた人は?
ルール破りの友だちの告発。
ルールを守っていたかを監視する圧力。
このようになると、それぞれの子どもたちの行動は、他律的に統制されることになります。


集団の保守的な空気が幅をきかします。
罰則もでるようになります。
当然のごとく、子どもたちの心情的なつながりは薄くなります。


さて、そのような傾向を前提として一年間を見通した指導を考えます。
ルールの作り方、守り方、ルールの意味を納得していく道筋には大きく二つあります。


一つは、最初から全くルールをつくらないことから始めます。
当然、いろいろな問題がでてきます。
子どもたちは、ルールをつくって対処しようとします。
しかし、そこですぐにルールをつくったのでは、原因を確かめないですぐに薬を服用するようなものです。
まずは、学級における問題、その原因を子どもたちがぶつかり合うなかで話し合うことです。
これは、時間がかかります。


しかし、子どもたちはルールさえあれば、先生が叱れば、なんとか解決できると考えています。
ルールや先生に頼ることなく自分たちの本音で解決できるようにします。
高学年になるほど、このような手立てを少しずつ入れていくことが大切です。
学級集団は、3か月ぐらいでひきしまってきます。
ルールの少ない集団になります。
ルールという外圧でお互いを縛り合うのではなく、共同体としての自覚を通して実行できるようにします。


二つめは、4月に先生と子どもたちで、生活のためのルールをできるだけ多くつくります。
細かいルールを作らせます。
生活していくなかで、不要なものがでてきます。
こうして、一年間は、ルールを減らしていく指導をします。


多くの学級は、最初につくったルールが学年末まで残っていることがあります。
「友だちを仲間はずれにしない」
このルールが一年間掲げられているとすれば、どうでしょうか。
「給食中は立ち歩かない」
「掃除はさぼらない」
このルールは、いつ頃なくなるのでしょうか。


ルールはなくすためにあります。
完全になくなることはありませんが・・・。


.ルールを減らしていく学級づくりを目指してみませんか。

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