教育随想 522回 学級づくり 引きつけて 離していく
学級づくりを考える時、一年間の骨組みを考えます。
一年間は3学期に分かれています。
この学期の意味づけは次の通りです。
1学期
前の学年の子どもたちの思い出(充実感・喜び)を大切にして、その学年に相応しい学級に一日一日迫っていきます。
たとえば、3年生から4年生に進級したならば、一学期は3年生の状況を引き継いで、4年生に近づけるための学級づくりをします。
いきなり、4年生の子どもにしないようにします。
「もう、あなたたちは4年生で高学年だから」という言葉は禁句です。
4月から7月の時間をかけて4年生に近づけるように、学習指導、生活指導、学級づくりを行います。
5月連休までは、個人、学級の現状を把握して、その可能性を考えます。
この時に大切なことは、指示、命令、説教で子どもたちを追い込まないようにします。
登校拒否児の発生、学級崩壊は5月の連休から6月の上旬ぐらい起こることがあります。
学級の基盤ができあがり、学級として胎動するのは、経験的に7月の上旬ぐらいです。
この時期、「あれ、なんとなく子どもたちの表情が変わったな」「学級の空気に活気がみなぎってきたかな」ということが、感じられるようになったらしめたものですね。
この時期に徹底したいことは、
「はい」「いいえ」「わかりません」が、どの子も言えるようにします。
個人として、自立させるためです。
ただし、言葉で圧力をかけるのではなく、授業の場において実践します。
2学期
いよいよ、その学年に相応しい学級づくりをします。
4年生としての学び方、生活の在り方、集団への参加の仕方などを身につけられるようにします。
この時期に行われる運動会や音楽会などの学校行事を活用して、学級づくりとつなげながら子どもたちの気持ちの充実を図ります。
この時期は、各教科の学び方を充実させます。
個人学習、小集団学習の充実をはかります。
そして、10月、一年間の折り返し地点です。
反省期間です。
個人指導、学級づくりについて、年間計画と現状との狂いを修正します。
3学期
子どもたちにとっては、教えられたことを活用していく充実拡大の時期です。
次の学年を視野に入れた指導、学級づくりを行います。
子どもたちが、先生からどれだけ離れて学習や生活ができるか、その成長がわかる時でもあります。
一時間の授業は、一学期と比較すると、子どもたちが活躍する割合が多くなります。
子どもたちが1.2学期に培ってきた力を3学期に十分に使わせます。
教えたことを子どもたちに使わせる時期が3学期です。
先生の手を離れる、離す時期です。