教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 490回  先生は 職人ですか?

家の屋根、外壁の工事が終わりました。
二週間ほどの工事でした。
骨組みを立てる大がかりな工事でした。


パイプを車から降ろし、ゆっくりと骨組みを作っていきます。
二人の方が協力しあって作業を進めておられました。
ところが、思ったほど組み立てる時の音がしなかったのです。


私は、窓を開けてその様子を見ていました。
パイプの開け下ろしの時、地面につくまで手を離さないで、そうっと置かれていました。
組み立てる時もとても静かでした。
実は、一か月前に向かいの家も同じようなことをされていました。
パイプが投げ落とされる音、パイプをたたく音が大きかったのです。
さらに、気になったことは、工事の時に私語が多かったのが気になっていました。


それと比べてみると、私語はありません。
工事関係の会話が小声で行われていました。


何日かたって、塗装工事が行われました。
一人の職人さんでした。
午前8時から夕方6時近くまで作業をされていました。
一人ですから声を耳にすることはありません。
昼食休憩をされる以外、作業をされていました。
その仕事を外から拝見させていただきました。


塗装職人、だれにも真似ることができない手仕事です。
私は、職人さんの背中を見ながら考えてしまいました。


学校の先生は、職人になっているだろうか。
誰にでもできる仕事ではないはずです。
子どもを育てることは、子どもと向かい合っている先生しかできないことがあるはずです。
保護者や他の先生ではできない仕事があるはずです。


そのために、先生は子どもを教えたり育てたりする技術を身体に身につけます。
「誰にでもできる指導シリーズ」の書籍が書店にあふれています。
誰にでもできる技術も大切ですが、自分にしかできない技術は、さらに奥深いものがあります。
目の前の子どもの事実を厳しく見つめ、そこから悩み抜いて作り上げたわざがあります。


教科指導が教科書の指導書を手放すことができない先生が多いです。
先生のオリジナルがありません。


先生は、教育職人です。
教える、育てることを専門とする職人です。
だれにも譲れない技術と心構え、理想があります。


工事の時に、委託業者の方から聞いた話です。
塗装職人さんは、業界でもトップレベルだそうです。
私は、それを聞いて職人さんの仕事ぶりに納得しました。


教育職人、授業職人、国語指導職人、算数指導職人・・・がなければいけないと改めて感じました。

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