教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 482回 子どもたちに感謝 そして リセット

あと残り一週間を切りました。
私は、あと何日かで子どもたちとの生活が終わると思うと、胸が締め付けられるような感じがしました。
子どもたちと、あと何日過ごせるかを考えると、手抜きができませんでした。
最後の日まで、授業をしました。
もちろん、投げ込み教材のたのしいものでした。
群読を楽しみました。
4月の声よりも、子どもたちの声にはりがあります。
理科の実験授業をしました。
討論が盛り上がり楽しいものでした。


卒業を前にした子どもたち。
彼らは言いました。
「今の学級で、4年の物語文「ごんぎつね」を読み深めたら、4年の時と違ったものを感じるかな」
卒業前、一週間、「ごんぎつね」を学習したことがあります。
子どもたちだけで、今までの学び方、話し合いの仕方で深め合っていました。
最後の一週間は、子どもたちのしてみたい学習、授業を実施しました。


私は、必ず学年の終わりにしてきたことがあります。
それは、子どもたちへの感謝を表す贈り物です。
手紙やしおりを贈ったことがあります。
6年生を担任した時は、一人ひとり写真をとりました。
その写真の裏に子どもたちへの思い、メッセージを書きました。
子どもに育ててもらったという気持ちを毎年強く持ちました。
その思いを何かの形に表しかったのです。


子どもたちを育ててあげたという傲慢さが見え隠れする私。
一方、子どもたちのお陰で、この一年間、先生として学ばせてもらったという喜びを感じる私。
医者は、患者が訪れるから医者になることができます。
学校の先生も、毎日、子どもたちが欠席することなく登校してくれるから先生でいられるのです。
もし、子どもたちが次から次へと欠席したらどうなるでしょうか。


子どもたちが進級、進学していきます。
先生は、その子どもたちを送り出します。
不安と期待が入り交じった心で送り出します。
「ありがとう」と子どもたちに挨拶します。


この時から二週間後には新しい子どもたちを迎え入れることになります。
前の学級生活や子どもたちとの思い出を捨ててリセットします。
再び、登山口から新しい子どもたちと頂上をめざして登り始めます。


これを何回も繰り返して教員生活を終えるのが先生の仕事です

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