教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 462回  道徳指導 子どもの心を揺さぶる

学級生活をしていると、集団とてしてのきまりがつくられます。
そして、それらのきまりでもって、先生も子どもたちもお互いに規制しあいます。
子どもたちは言います。
「給食のとき、立ち歩いてはだめだよ、きまりだから」と友達に訴えます。
先生も「きまりだから守りなさい」と、決まりを遵守することを強いることがあります。
道徳の教科書もかなり変わってはいますが、最終的にはきまりを遵守することが大切であると示唆しています。


実践例
「ルールを守ることは自分を安心させる」
このテーマで話し合いをさせます。


ルールを守ることと安心とはどこでどのようにつながるのか、子どもたちはわかりません。
最初において、わからないことが大切です。
「きまりを守ることは大切です」と提示すると、「ああ、またか」「そんなのわかっているのに」「幼稚園の時からいつも言われてきたことだ」
子どもたちは、最初から気乗りしません。


そこで、「今まで、あなたはきまりをどれだけ破ってきましたか。」と尋ねます。
子どもたちに発表させます。
「そうだよね、みんながそんなにきまりを破ってきたのなら、きまりなんて必要ないね」
子どもたちは、「でも・・・」と悩みます。
「どうせきまりをまもらないのなら、きまりなんかつくらなくていいよね」
あれこれと悩ませます。
それから子どもたちの話し合いにもっていきます。
やがて、一つの具体例をもとにして考えさせます。


交差点の信号です。
信号機のない交差点があるとしましょう。
もし、信号がなかったら、運転者や歩行者はどのようにしてわたるだろうか。
必ずいったん停止。必ず左右確認。進み始める時もさらに左右確認。
安全だと確認したらすばやく動く。
「あれ、信号機がないほうが、誰もが気をつけてわたるのではないですか。信号機はいらないのでは」
子どもたちは言います。
「ぶつからないように動くから安心できないよ」
「きんちようするなあ」
「交通量が少なかったらいいけど・・・もし・・」


交通量が多いときはどうなるかを考えます。
渡れない、進めないということが起こります。


その時にどのような気持ちになるでしょうか。
「怖い」「緊張する」「事故になるかも」「ぶつかるかも」


それでは、ここに信号がついたらどうなるのでしょうか。
その信号の合図をみんなが守るとしたらどうでしょうか。
様子は? 
歩行者と車の動きが別になる。
少し待てば、必ず進める。その他・・・。


信号機があると、信号の合図を守るというきまりができます。
きまりができることで、交差点を行き交う人や運転手はどのような気持ちで通ることができるでしょうか。
安心だ 安全だ あわてなくてもいい・・・。


「それでは、ルールを守ることは自分を安心させることになりますね。」


他の例をだして考えましょう。
学級のきまりを子どもたちにださせて考えさせます。
給食の時にたち歩かない。
安心して、落ち着いて食べることができる自分を守ることになります。
このようにして、いろいろな例をだして考えさせます。
道徳の学習は、子どもたちの心を揺さぶることが大切です。

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