教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 443回 高学年の学習指導  参観し合える班学習 オープン化

班で話し合う、考え合うといっても、実際にどのような手順をふめばいいかわかりにくいものです。
最初のうちは、子供たちが自由に自分の意見を勝手に発表しているにすぎません。
そこには、深まりも広がりもありません。


班での話し合いは自分が発表したらいいと思う子どもも少なくありません。
特に、全体学習が実施されるとき、発表形式で行われている場合は、班での話し合いも同じようなことが起こっています。


子どもたちの班での話し合いを聞いていると、自分の意見を言い合ったあと、上位の子どもの意見で考えが絞られていることがあります。
低位の子どもたちが、自分の考えを発表しても大きくとりあげられないのです。
普段から、勉強での話し合いは、あの子に任せておけば間違いないという偏見があります。
したがって、勉強が得意でない子どもの直観的なひらめきはあまり取り上げられません。


班の話し合いのねらいは、全員の意見が平等に大切にされることです。
そのためには、子ども同士がお互いの考えの背景、根拠に思いやれることが必要になってきます。


子どもたちは、他の班での話し合い、学習活動がどのように行われているかをあまり知りません。
隣の班なのに、自分の班活動に気を取られて、ほとんど知らないのです。
だから、時間がたつと、閉鎖的になり班での話し合いや活動がマンネリ化してきます。


そこで、班活動や話し合いの参観を実施します。
最初は、先生が、活発に話し合いが行われている班を指名して、他の班の活動を中断して、その班の様子を参観させます。
3分程度でいいです。
「今、〇班の話し合いを見て、どこがよかったですか」と尋ねます。
子どもたちは、それぞれ自分の班と比較して意見を言います。
「自分たちの班も取り入れたいと思うことはありますか」
そのあと、それぞれの班での話し合いが継続されます。


この参観させるときのポイントは、先生が、それぞれの班の活動を詳しく観察することです。
どの班の、どのような良さ、特色を他の班に広めるのかを考えます。
参観した時の子どもたちは、次のようなことを話します。


発言の苦手な友だちが自分の意見を話している姿にびっくり。
一人の話をみんなが体を向けて聞いているよ。
一部の人だけが話しているのではなく、誰もが自分の考えを話している。
なんだか話しているときの雰囲気がいいなあ。温かい感じがするよ。


話し合いだけに限らず、合力・助力・分力の場面を参観させます。
集団学習の良さは、お手本が集団の中にあふれていることです。
ノートの取り方、話し方、聞き方、そして、学び方、さらに、当番や係活動においても
お手本となるようなことがいっぱいです。
それらのことを発見する先生の姿勢が大切ですね。
子どもを教えるのは子ども、子どもに気づかせるのは子どもです。


ひとつ大切なことを言います。
何かを意図して先生が実践されるとき、繰り返し、粘り強く、地道に子どもたちに働きかけることが大事です。
指示したらすぐにできるというものではありません。
何かを実践しようとするならば、3日、3週間、3カ月の時間の幅で試みてください。
一人ひとりの先生がご自分で考えられたことを、結果がでるまで粘り強く継続してみてください。
どんなに小さな実践でもいいです。(大きさ関係なし)
うまくいかなくてもいいです。
子どもたちに身も心も傾けたことが先生の力量として蓄積されます。
実践課題は、目の前の子どもたちからあふれるように生まれてきます。
そのためには、子どもの事実を見切ることです。

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