教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 439回 高学年の学習指導 子どもから始まる授業

高学年の学習指導、特に最終学年の6年生を中心にお話します。
6年生の子どもたちの学習態度は、学校教育の集大成です。
卒業式の態度は、まさに、全職員の6年間の結果であり成果であるはずです。
学校教育目標で掲げた内容は、卒業式の時の6年生の子どもたちに具現化されていなければなりません。
しかし、実際は思うようにいかないものです。
学校教育の反省は、目の前の子どもたちの姿をもとにして分析しなければなりません。


6年生をいかに育てて中学教育へ送り出すかを考えなければなりません。
中学の学習に適応するための基本は、「自学自習力」です。
主体的学習」の確立です。


子どもの主体性が育っているかどうかは、それぞれの月の子どもたちの様子を見ればすぐわかります。
4月に先生が子どもたちに出していた指示が9割だとすれば、一年間が経過した3月では、2,3割の指示になっているはずです。
子どもたちのそれぞれの主体性を育てることができているなら、子どもたちの上に具現化しています。


例えば、簡単ないくつかの例をだします。
授業開始の時を考えます。
開始のチャイムが鳴ります。
「席に着きなさい」「教科書をだしなさい」という指示は、4月にあっても5月にはありません。
「今日はどこを勉強しますか」「どんなことを勉強しますか」という指示がなくても、子どもたちは本時の学習のめあてを把握しています。
3学期になれば、チャイムが鳴って先生が来なくても、自分たちで学習を開始しています。


今日の課題を黒板に書いて、まず、ノートを開いて今日の問題に挑戦しています。
学び方のルートについては、一学期中に身につけています。
先生が教室に来ても、自分たちの勉強は中断しません。
独りで考えたことを発表、あるいは、班を使って考えを練っています。
先生は、そのような子どもたちを後ろからそっと見守ります。


子どもたちの学び、集団の学ぶ力がさえてくるのも3学期です。
先生が出張で教室を開けるときも、プリントを用意しなくても自分たちの勉強をします。
先生がいないときの学習で行き詰ったことを次の日に先生に提出します。
そして、先生を含めた全体学習が始まります。


算数はもっとも早く子どもたちを中心になってでくる教科です。
独り学習と班学習を往復させます。
班で解決しない問題は全体の話し合い学習で解決します。


理科も学びのルートが明確になっていますので、子どもたちで主体的に進めることができます。
問題➡独りで予想・仮説➡自分の考えを発表して全体で話し合い➡そして、実験の計画(検証)・・・というように進めます。
理科の準備は、理科室に行って子どもたちだけで用意できるようになっているのが一年間の後半です。
それまでに、実験技術、実験器具の扱い方等を学ばせます。
教えて、子どもたちを離します。


4月の指示と3月の指示が同じであったとしたら、子どもたちの主体性は育っていないことになります。
体育においては、何を学習するかがわかっているわけですから、運動場に出たら自分たちで用意できるようになります。
今のように寒い時は、ゆっくりとトラックを走り、体を温めます。
球技では、チームごとに集まって、今日のねらいを共有化してすぐに練習に入ります。
先生は、安全面に注意して見守っているだけでいいです。


社会も理科と同じ学び、問題解決学習を実施します。
課題を推理してから資料を探し、その資料を読み取ります。
そして、読み取ったことをもとにして、話し合いを始めます。


国語は、他の教科に比べて子どもたちが独り立ちするのに時間がかかります。
特に、読解学習の場合、先生との対話が必要になります。
一時間ごとの課題を設定します。
独り読みの時間を長くします。
普通、書き込みと呼ばれる作業です。
それをノートに文を書きだして自力で学びます。
その学びをしっかりしておいてから、全体で話し合って深めていきます。


簡単で申し訳ないですが、大雑把な学びをお話しました。
今、3学期です。
「みんな席に着きなさい」「静かにして先生の話を聞きなさい」という指示が一年間たっても変わらないとしたらどうなのでしょうか。
授業中の言葉と子どもたちの言葉、どちらが多くなっていますか。
先生は、できるだけ少ない指示と説明だけで、大半が子どもたちの言葉や活動で動いているはずです。
学びは主体的なものです。
先生の指示を待ちません。
待たなくてもいいように学習技能を身につけさせます。
三月は、子どもたちの主体的な学びが開花するときです。
どのような学習も自分たちで進めていこうとします。
それでもすべてを任せてはいけないです。
子どもが成長するほど、高度な先生の指示が必要になります。
どんなに子どもが主体的になろうと、先生の支援がなくなることはありません。
今回は、高学年の学習指導のイメージとしてとらえてください。

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