教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 434回  低学年の学習指導(その5) 家庭でほめられないことをほめる

低学年の指導は、小鳥を手のひらの上にのせて、逃げないようにつかんでいることです。
強くつかむと小鳥は、息苦しくなり死んでしまいます。
逆に、弱すぎるとどこかに飛び去って行きます。
小鳥をつかむとき、つかまれているという感覚を与えないようにします。
つかむというより手のひらで抱擁しているという感じです。
低学年の指導にあたって、私が意識してきたことです。


「やってみせる」
最も大切にしたことは、彼らと行動を共にするように努めました。
給食の準備、掃除の活動を毎日一緒にしました。
口で指示するよりも先生自らが、汗を流してやってみせることで、子どもたちの心は開いていきます。


ノート指導においては、丁寧に書かせるように指導しますね。
そうであるならば、先生の黒板の文字が一番丁寧でなければなりません。
子どもたちがノートに書くときと同じ速さで黒板に書きます。
それがやってみせることです。


掃除も給食の準備も、活動している子どもたちのなかにあって、最も動いているのが先生です
子どもたちは見て覚えて体にしみこませます。(身に付くということ)


「できるだけみんなでやってみる」
学習においても生活においても、楽しいこと、興味あることは、みんなで実行します。
全員遊びの時間をとって、友だちと関わり合うことの楽しさを味わえるように育てます。
一年生の一学期は、特定の子どもにだけ仕事を任せることはしません。
できるだけ全員で実行します。
人数が多くて混乱してもいいのです。
そのうちに分業したほうが効率的であることに気づき始めます。


学習で知識として教えたら、できるかぎりやらせます。
個人の活動を盛りだくさんにします。
時間を気にしなくていいです。
子ども一人一人が学習に満足すれば、学習意欲が膨らみます。


ほめてほめ抜く
低学年に限らず、子どもは自分の人格を形成していくとき、周囲の大人の評価を吸収して自分を育てます。
自分のしていることがほめられると「こうすればいいのだ」と自信を持ちます。
まわりに「あなたやさしいね」と言われると、自分の中にあるやさしさを自覚します。
ほめることは肯定的評価です。


ただ、ほめる時に大切なことがあります。
子どもたちが自分で気づいていないことを評価します。
子どもたちが家庭で言われていることをあえてほめません。
ほめても先生に心を開きません。
親さえ気づかないことを評価すると、子どもたちは、先生に接近してきます。
学校に来て先生と出会ってよかったと納得する瞬間です。


低学年の指導を終了します。

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