教育随想 372回 学級づくりは 常に壊すこと
ある学校の校長先生が職員に向かって言いました。
「学級づくりは最初の3日で決まる。」
かつて、同僚が書籍を出版しました。
「1年生は、最初の一週間で決まる」
職員がよく話していたことです。
「学級は、最初の一か月、4月に決まる。」
「最初の3日で決まる」
最初の基本的な学習の仕方、学級の生活の仕方を3日間でしつけるようです。
それはしつけるのではなく指示するにすぎません。
私は、その時に質問しました。
「校長先生、最初の3日間が大切なのはよくわかります。しかし、4日目からはどうするのですか。」
「もし、3日間で決まらなかったら、どうなるのですか」
「1年生は、最初の一週間で決まる」
同僚が私のところに書籍を持ってきました。
「先生、読んでアドバイスをください」と言われました。
私は、「学校生活を知らない一年生に対して、最初の一週間で指導すべきことは多いことはわかります。でも、一週間が終わったそのあとどうするのですか。」
さらに、続けました。
「一週間で身に付いたことが一年間、持続するのですか。あるいは、維持させるのですか。」
「学級は、最初の一か月、4月に決まる。」
そのような目標を立てることで、先生が子どもたちを追い込んでいきます。
最初が肝心なのはわかります。
しかし、一年間の途中も大切、そして、終わりはさらに大切です。
ある時、同じ学年の先生が私に言いました。
「先生、もう、学級の子供たちは、私の手の内に入りましたよ。
私は「先生はすごいですねえ。私なんか一年たっても、手の内にはいらないと思います。」
しつけ、指導と称して、子どもたちに必要なことを入れることはあります。
しかし、それは、序章であって最終章ではありません。
話題を変えます。
飲食店で行列ができる店があります。
店にとっては、最高ですね。
しかし、登山する時と同じです。
頂上に上ってしまったら、あとは下るのみです。
店でも学級づくりでも、最高だと思った時が、すでに下っている時です。
学級づくりでいえば、子どもたちに対して指導効果があった実践を続けないことです。
やがて、副作用がでます。
どのような方法、実践も効果と副作用が背中合わせで表れます。
そうです、薬と同じですね。
学級づくりの秘訣は「良くなったと思ったら壊すこと」にあります。