教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 369回 授業 先生に見放された子どもたち

学習意欲が低下している子どもたち
やればできる子どもに多いです。
「あなたは、頑張ったらできるのだから」と励まされる子。
励まされても頑張ろうとしない子。
ある時期には、学習意欲があり勉強に努力したこともある子。
宿題や忘れ物が多い子。
授業において、自主的に話し合いに参加しない子。
それなりに能力があるにも関わらず学習に積極的な姿勢を見せない子。


多くの先生に
「あなたは頑張ったらできるのに」と愚痴をこぼされてきました。
「どうして頑張ろうとしないの」と責められることもありました。
それでも、動こうとしない彼らは、一定の頑固さがあります。
彼らは、何かのきっかけをつかむと勉強するようになります。


子どもたちに接してわかり始めたことがあります。
子どもが頑張ろうとしたとき、周囲との比較のなかで、自分の力を知ってしまった。
自分なりに頑張ったのに、テストの点数を見た保護者に「あれだけ頑張っていたのに100点取れないの?」と責められた。
親の期待にこたえられなくなってしまった経験。
厳格な親が背後に控えていると、彼らの中には、かつて出していた首をひっこめてしまうことがあります。


ある子どもがいいました。
「先生、私ね、どんなに頑張っても親は自分の努力を誉めてくれないの」
「そのうちに、努力してもしなくても変わらないように思ったよ」
子どもたちは、何もしないほうが傷つかなくていいと思い始めます。
「頑張ったらできる」ということは、「頑張ってできなかった」時に不快な経験をします。


まとめると
頑張ってもできなかった、認められなかった経験。
頑張ってできなかったときに自分の力の限界を知ってしまった経験。
学習意欲のもとは、「快感経験」の積み重ねです。
不快経験が快感経験を上回ると、学習意欲の低下が見られます。


彼らに必要なことは、快感経験を多くつくることです。
彼らの学習行動を否定することなく肯定的にサポートします。
「いいねえ」「すごいじゃない」「よく考えたねえ」
「えっ、先生も気付かなかったなあ」
「前向きに取り組んでいる時のあなたはすてきだね」


彼らは、学習効果がでない原因として学習の仕方に問題があります。
そこで、指導として
教科書やノートの使い方になれさせます。
授業のなかでは、学習したあとが残っているノートづくりを指導します。
協同の視点で考えると
彼らは、自分が話し合いに参加しなくても、自分に関係なく学習が進んでいく事実を知っています。
そこで、話し合いに参加できるように促します。
話し合いで課題を追求しているときに、彼を指名して意見を求めます。
先生は、あなたの考えが必要ですよというサインを送ります。
先生に注目されているという気持ちを持たせることが大切です。


もう一つの対策として
彼らは、自己能力を最大限に使用した経験がないのです。
だから、最大限に使える学習の場を意図的に設定します。
授業は、子ども一人一人のためにあります。
全体の子どもに働きかけると同時に、個々の子どもたちを意図的に刺激したり支援したりするのが授業です。
授業が教科内容の伝達だけでなく、個々の人間を育てていることを再確認することが大切だと考えます。

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