教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 33回  生物を育てることは 命を看取ること

理科は一学期は生物領域の学習が多いです。
中学年は年間を通して、四季の移り変わりと生物の変化を学習します。
 命を大切にする気持ちを育てることがねらいです。


 理科の学び方は問題解決学習です。
 ただ、最初においては、クイズ形式の問題、三択式とか○×のどちらかを考える学習もおもしろいです。全員参加で楽しみます。
 子どもたちに植物の世界の不思議さに興味を持たせる上で有効です。
 クイズは、子どもたちの好きな学習方法です。やがて科学的な学びの世界に引き入れていきます。


クイズの一例
「サクラが満開」というのは、どのくらいさいたら「満開」というのですか。
① 全部の花が開いたとき
② 半分の花が開いたとき
③ 8割以上ひらいたとき ○


チューリップの知らない世界
 チュ-リップの問題です。
問題 チュ-リップは夜、花が開いていますか。
①  ひらいている
②  とじている ○
③  ひらいているものやとじているものがある
「朝、気温が上がると開きます。夕方に気温が下がるととじます。」


問題 チュ-リップの花は何日間ぐらい咲いていますか。
①  一か月ぐらい
②  20日間ぐらい
③  10日間ぐらい ○


問題 10日ぐらいになると、花びらの大きさは、はじめのころより大きさは
どうなっていますか。


① 2倍ぐらいになっている ○
②ほんの少し大きくなっている
  ③かわらない
「そのわけは、開くときは花びらの内側がのびます。閉じるときは、花びらの外側がのびます。こうして、とじたり開いたりしているうちに大きくなっていくのです。」


タンポポの知らない世界
問題 タンポポの花びらは何枚ですか。
  ① 1まい ○
  ②50まいぐらい
  ③100まいぐらい 


問題 タンポポの花は、夜は開いているか。
①  ひらいている
②  とじている ○
   ③ひらいているものもあれば、とじているものもある
問題 タンポポは何日間咲いていますか。
① 3日間 ○
② 一週間
③ 十日間

このように子どもたちの知らない問題を提示します。いろいろな考えを出し合いながら遊びます。
子どもたちは、野外観察に出かけたときに、最初に目に入るのは、さくら、チューリップ、タンポポでしょう。


 野外観察をさせる場合、すぐに野外に子どもたちを連れ出すのもよいのですが、子どもたちに前もって観察する目を指導しておいたほうが観察に集中します。
 タンポポや野草を教室に持ってきて観察します。
 虫眼鏡とピンセットを使って詳しくスケッチさせます。
 「用紙からはみ出るように書きなさい。」
 「虫眼鏡の目をもって書きなさい」などと助言します。
 大きく詳しく書かせます。そこに子どもの気づき(発見)が生まれるようにします。


観察するのに面白い植物は「ホトケノザ」と「ヒメオドリコソウ」ですね。
どちらもシソ科の植物ですが、その違いを見つけるといいです。
シソ科の植物は、茎が四角です。
 教材研究のための書籍です。参考文献をあげます。
「雑草のはなし」田中修 中公新書  「つぼみたちの生涯」田中修 中公新書
「都会の花と木」田中修 中公新書
「花のふしぎ100」田中修 サイエンス・アイ新書       
「花のはなし1巻 ・2巻」樋口春三編著 技報堂出版


栽培の話をします。
どの学年も種をまいて植物を育てます。花を育てたり野菜を育てたりします。
できるなら、一年生の朝顔の観察のように一人一鉢です。
命の誕生から死(枯れる)までを見届けることに意味があります。
ところが高学年になるほど、枯れてしまって見苦しいからということで学習園から一掃してしまいます。


命を育てるということは、最後まで看取ることです。
責任を持たせて育てることその過程が命を大切にする子どもを育てます。
学習園に植えたとしても、できるだけ少人数で管理させます。
水やりを当番制にするのではなく、全員で水やりをしながら栽培植物に接することができるようにします。
水やりを通して、毎日、植物の命に出会うことです。


種が土から顔を出す瞬間をだれが発見するか、発見者の名前をその苗につけてあげます。重い土を持ち上げて顔をだしますが、顔からでると傷がつくので背中を丸めて姿を現します。感動的な場面ですね。


 生物教材は、動植物が死んだら、そのままにしないようにします。
 種をいっぱいつけて枯れてゆく植物。
 春夏秋冬の時間の流れの中で、姿を変えていく樹木。
 種族保存のために、卵を産み付け死んでゆく虫。
 生物にとって、冬は死ぬことを意味します。
その冬をいかにして越えていくか、それぞれの生物の工夫があります。
人間とその他の生物の違いを時おり考えながら学習していきたいものです。

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