教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 320回 漢字指導は 学年限界を超えて

漢字指導、ドリルを使ったり先生が板書したりして教えます。
当該学年の漢字の範囲で指導します。
私は、少し違います。
漢字は学年に縛られることなく、漢字の世界を広げていくことのほうが楽しい漢字の世界を経験できます。漢字は文化です。
私達が学校教育で教わった漢字よりも、学校外の世界で覚えた漢字のほうが多いですね。


4年生の漢字を例にあげます。
「信号」という漢字を習います。
「信号」の「信」だれをしんじるのかな。
ニンベンで人を信じる。人の言うことを信じるのかな言葉を信じるのかな、と子どもたちに意識づけます。 


「運転手」の「手」はどんな意味ですか。
手(しゅ)とは、ある仕事をする人のことをいう。「手」のつく言葉を集めなさい。
「速達」の「達」はどんな意味ですか。
「つたえる」という意味があります。「配達」「伝達」
「運転席」の「席」の意味は何ですか。
 席のつく言葉をだして考えるようにします。
「出席」「欠席」 「席」とは、すわる場所
「菜の花」の「菜」は、どんな意味がありますか。
「菜」というのは、茎や葉を食べるものをまとめていう言葉。
   野菜 菜っ葉


漢字の意味を探るとき、その漢字を使った言葉をできるだけ多く出させます。
それらの漢字を並べてみていると自然に漢字の意味がわかってくることが多いです。
新しい漢字を覚えたなら、その漢字の音訓(習っていなくても)漢字の語源、
その漢字を使っての熟語づくりをして広げていきます。
一つの漢字からどれだけ広げていけるかを目に見えるようにします。


さらに、先生が教室掲示をつくるとき、できるだけ習っている、いないに関係なく漢字で表示します。そうすることで、漢字の使い方、読み方、意味がわかります。
私が6年生を担任した時は、国語のノートは三冊用意させます。
一冊は「読みのノート」、二冊目は「言葉のノート」そして、三冊目は「漢字のノート」です。すべて別にします。6年生の学習は、中学校の内容を意識して指導します。


さらに、一学期に6年生の漢字をすべて読めるようにします。二学期には、中学校の教科書の漢字も導入します。
ただし、すべての漢字の読みを習得させるのではなく、できる範囲で提示していきます。子どもたちは、習っていない上級の漢字には意欲的になります。
あるとき、高校入試の漢字の問題をだし、その読みを考えさせることもありました。


漢字を覚えるのは「好奇心」です。
漢字は表意文字です。
漢字には歴史があり文化があります。
漢字の成り立ちを調べさせることで、その当時の民俗文化を感じることもできます。

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