教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 302回 4月の教室づくり その5  家庭的な雰囲気を大切にする教室づくり

教室は勉強だけをする場所だから質素でよいという考えもありますが、私は、教室には温もりのある雰囲気を漂わせたいと考えました。
病院は患者の病気を治療すればよい、食堂は食べ物を提供すればよいから必要なものだけを用意すればいいと考えられることがあります。
しかし、安心して治療を受けたり、落ち着いて食事ができたりするためには、付加価値なものが大切です。


教室は2つの顔をもつています。
先生が盛り上げる教室
子どもが働きかける教室


先生が盛り上げる教室
教室に置かれている棚にクロスを敷いて明るくします。
その上に花や置物をおきます。
教卓はテーブルクロスをかけ、春夏秋冬に分けてクロス交換します。春は和やかな、夏は涼しげな、秋は落ち着きのある、そして、冬は、暖かみのあるクロスをかけました。
そして、教卓の横には児童机を一つおいて(もちろんクロスをかけて)子どもたちの相談用の机にしました。


教卓の上には鉢植えをおき、あらゆる文房具を揃えました。
必要時は貸し出しました。
教卓の横に本棚をおいて、先生の机、教卓から学びの空気が流れるようにもしました。
国語辞典、漢字辞典、反対語辞典、類似語辞典、カタカナ辞典
四字熟語辞典、ことわざ辞典は大人用です。その他、子ども用の国語、漢字、ことわざ、四字熟語の辞典もおきました。
大人の辞典をおくと、必ず興味ある子どもたちがそれを使い出すからです。難しいものほど子どもは使いたがるのです。


人形の世界(一つの棚)をつくりました。
今まで買ってきた私の人形や、どこかでもらったおまけの人形などを飾りました。そして、毎日、人形の位置を変えて私が楽しみました。そうすると、子どもたちが自分の家にある人形を加えたいという子どもが現れます。こうして、人形のお話の世界が生まれるのです。
なくてもいいものです。しかし、雰囲気が和らぎます。


先生の掲示コーナーを背面掲示板か側面に小さな私の掲示コーナーを置きます。そして、私の好きな写真、名画、新聞の写真などを掲示します。子どもたちの関心を広げます。


次に子どもが働きかける教室
新学期が2か月ぐらいたつと、子どもたちが学級生活に慣れて、集団に愛着を持ってくると、自分なりに教室に対して働きかけを始めます。


花を持ってきます。
教室に空の花瓶を一つおいておきます。
子どもたちの中で愛着をもった子が、「先生、お花もってきていい?」と尋ねてきます。ただし、子どもが集団に落ち着きを感じなければ期待しても無理です。


学習用具を置いてほしい。
すぐに使える画用紙や色画用紙をおいてほしい。
自分の育てている鉢植えをもってくることもありました。
しかし、一番多いのは、学習がおもしろくなってくると調べるための資料になる参考書を要求したり、自分のものを持ってきたりしました。
そこで、高学年には、各教科の自由自在などの受験参考書をおきました。図書室にはおいていない資料を足しました。
これらは、子どもたちのほうからの要求で動くようにしました。


以後、学級をあたたかくする仕事をする係活動が発足します。生活を便利にする係活動もつくられました。
係活動は、直接に子どもたちの要求から生まれてきます。
生活の機能を分業するのが係活動です。

×

非ログインユーザーとして返信する