教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想  269回 劇指導 その3 せりふ練習の指導

劇の脚本配布
①自分の役に印をつけて全体で読み合わせ。


 どんな劇なのか、何を伝えようとしている物語なのかを把握します。
 自分の役について考察します。
 性格・人柄などのだいたいを把握します。
細かいことは、練習する中でわかってきます。
自分のせりふだけに注目するのではなく、そのせりふの前後も覚えるようにします。


②劇練習のための発音練習のプリント配布。
  アナウンサー用の発音練習のためのスキル、
早口言葉などが書かれたプリントを配ります。練習の最初の準備運動として活用します。


セリフ独り練習


①自分のせりふを声にだしてすらすら言えるようになるまで練習します。脚本から少しずつ目を離して言えるようにします。
 「台本に目を置きながら声にだします。やがて、台本から目を離していきましょう」


②座ったままでの練習から立って練習するようにします。
 この時点で、自分のせりふを言いながら身体表現もいれていきます。
 もちろん、その子にとってできる範囲にします。


③円陣をくんで、お互いの表情がわかるようにして練習します。先生は中央に立ちます。子どもたちの声は、最初は、恥ずかしがって小さくなります。
 そこで、広い特別教室か体育館に連れていき、円陣を作らせ先生に向かって自分のせりふを言わせます。
 「先生の耳にあなたの声が届くようにせりふを言ってください。」
 小さな円陣から少しずつその半径を広げていきます。
 最後は体育館の壁にへばりついて言わせます。
 こうすることで、友だちと競い合いながら、大きく発声するようになってきます。
 よく届いている子どもには、OKサインを送ります。
 毎回、劇練習は、独り練習から始めるようにします。


④本格的に動作をつけさせて練習します。
 身振り手振り、そして、歩くなどの動作を考えながら練習します。動作の練習に入ると、恥ずかしさも手伝ってか、うまく表現できない子どもがでてきます。
 劇指導はできない子どもよりもできる子ども優先、演技力のある子どもを全員に見せることで刺激を与えます。
上位の演技力のレベルアップをすれば、全体の演技力は向上します。
独り練習ですが、実際に舞台の上に立っていると想像して練習します。
体育館での独り練習はとてもにぎやかです。
このにぎやかさ、空気が練習の雰囲気なのです。


⑤最後にしつかりと演技ができる子どもから舞台にあげて独り練習をさせます。わざと、目立つところで練習させます。
 子どもたちの一人練習をチェックします。
 表現力のある子を舞台に上げて独り練習をさせます。
 他の子どもたちを刺激していきます。


通し練習の開始


①場面をいくつかに区切って、通し練習の回数が多くなるようにします。
 最初から最後まで通すのではなく、グルーブの台本をいくつかの場面に分けて、
 同時に練習させます。


②通し練習に入ると、それぞれの役の個性が失われることが多いです。周りと声の調子、速さ、高さ、間の取り方が同じになってしまうのです。
 この時から先生の指導の手が入ります。各グループを回って助言します。


 どの役も同じ速さで話すものだろうか。
 人物の性格や立場を考えると声の高さや速さは決まってくるのではないか。
 一人一人がいかに違って演じるかが重要ではないか。
 「あなたのせりふ、誰に伝えているのかな」
 「あなたは、あの人がせりふを言っているとき、何を考えて聞いているのかな。」


 友達との違いをだすのが劇を演じるポイント。
 「周りの友達の中に埋もれないようにしよう。」と助言をします。
 「劇は、他の人との違いをだすのが大切だすね。見ている人がまわりの人と違いがわかるようにしてごらん。」


③個性的になりつつあるグループをお互いに見せ合うようにして、学ばせるようにします。 
 たとえば、2本以上の脚本を扱っているときは、体育館で同時練習をさせます。
前と後ろに分けて練習します。


通し練習・・・振付をつけて
 場面ごとに区切ったメンバーで練習します。
 体育館のフロアーに舞台の広さと同じものを場面と同じだけの数をセットします。ひもで囲っているだけのものです。四方にイスをおくだけでもいいです。


 ①自分の演技が舞台のどの位置で演じるのかを確かめます。
 ②動作をつけながら、まずは独り練習を始めます。
基本は独りです。
そのあとに演じる相手と組んで練習します。


通し練習で大切なことは、動作と言葉がうまくかみあっているかを子ども同士で確かめ合ようにします。
 もっと大きく動いてもいい所、あるいは、動きをセーブしたほうがいい所などを
助言しあいます。
 まずは、脚本に忠実に演じることができるようにします。
 やがて、アドリブの世界を指導します。(脚本から離れていく世界)
実際の公演では、1/3ぐらいは、脚本と違ってきます。
これが子供たちが主体的に動いたときの結果なのです。
                                  その4に続く

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