教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 267回 劇指導 その1 配役決定

私は、劇発表会を毎年欠かさずに実施してきました。
それ以外に、人形劇、ドラマ、落語、漫才、コント、ファッションショーなども授業参観に発表しました。
今回は、劇指導について何回かに分けて指導例をお話します。 劇を始めようと思ったきっかけがありました。 先生になって2年目の時でした。国語の教科書の中にある劇脚本を学習していると、ふだんの子どもたちの姿が違ったものとして表れたからです。自分の性格と違うものを演じることで表情が変わってきました。
劇の学習後、子どもたちの発表の声が著しく大きくなりました。
些細なことですが、ふだんの学習指導では表れてこない子どもが浮かび上がってくることに興味を持ちました。


そのころは、その学校では、学芸会のような行事がありました。私は4年生を担任していましたが、4クラスある学年の劇指導をさせてほしいとお願いしました。
当時の劇発表の出し物は「赤いろうそくと人魚」小川未明・作の本を私が脚本化しました。
もう一つは、人形劇でした。体育館に大きな舞台を設置して、かなり大きな棒人形をつくって演じました。
実は、私は、大学時代は人形劇活動をして、当時、県内の各地域を巡回公演していました。
このときの活動が教育としての文化活動に関心をもつようになりました。


 話をもとに戻します。
 劇活動は、子どもに自己表現の楽しさを与えます。
 そして、表現力が豊かになり、友達とのコミュニケーション能力が育ちます。
 さらに、学習における話し合い活動が発表前とその後では大きく違ってきます。
 みんなの前で大きな声をだせなかった子どもたちが見違えるようになります。
 それからは、学年の最後の授業参観は劇発表会を実施しました。
 六年生の場合は、3月に、体育館で大規模な発表会をしました。


市販の脚本に少しセリフを増やし、多くの子どもたちが参加できるようにしました。  脚本を自分で書くこともありました。


劇指導における配役の決定について 
オーディションを通して選ぶ方法もありますが、多くは、私が配役を決定しました。一人一人の子どもにどのように育ってほしいかというねらいをもって配役決定をしましたふだん、引っ込み思案の子どもに活動的な役を与えたり、乱暴な子どもには、いじめられる役をもってきたりします。その子どもとは、逆の役を与えることで、今まで気づかなかった気持ちを味わうことになります。


ふだん中心になっている子どもには、わき役を与えて、周りを支える立場の難しさを考えてもらうこともあります。さらには、それぞれの個性を十二分に発揮できるような配役にします。


いずれにしても、主役以外は、セリフの数に差がないように配慮します。
しかし、私では決めかねるときには、オーデイシヨンを開き、子どもたちと一緒になって決めることもあります。


 劇活動、特に、発表会は、学級が充実する3学期しかできません。
 劇発表会は学年、学級の成長の足跡でもあります。

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