教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 266回 学校教育反省会、これでいいのでしょうか?

授業後の反省会はややもすると技術、方法についての意見に終始します。
しかし、反省会は、学校教育目標に添って行われるべきです。
学校教育目標を具現化するための教育ですね。
地域から委託された公教育です。


今、各学校では学校教育の反省会が行われています。
その中で一番簡単に取り扱われるのが学校教育目標であり、努力目標です。
特に学校教育目標は、毎年変えるものではないので継続しましょうと言われて次の議題に進みがちです。


教育目標の各学年、学級における達成状況を出し合って話し合われることは少ないです。熱心な学校は、各学年で目標達成について話し合われ、それを全体会に提出します。
そこで、厳密ではない(できないですが)ですが、傾向としておおむね達成しているかいないかを共通認識することはできます。


学校教育目標から授業、生徒指導、学級指導、行事等のビジョンが明確になってきます。
どのような子どもを育てたいのかというねらいが、授業を中心に各活動の目標の中に盛り込まれています。


ところがどうでもいいようなことばかりが反省会の議題にあがることが多いです。
それも大切なことですが、日常的に話し合いをすれば解決できることも多いです。どうして、この学年末に議題としてあがるか疑問に思うこともあります。


先日、伺った話によると、来年度から運動会を半日にすると決められたようです。ところが、どの種目を削っていくかでもめたということです。
運動会の位置づけ、どのような子どもを学校として育てるのかを規準にして考えられることなく、指導が楽だとか、時間がかかりすぎるからやめようとかという話になったようです。


学校行事の反省は、その行事が終わるとすぐに職員の反省アンケートを配布して書いてもらいます。
特に、何がよかったのか、どこを次年度改善すべきかを具体的に提案してもらいます。そして、そのアンケート結果をもとにして全体で反省会を実施します。年度末では遅いですね。


運動会でも音楽会においても、その行事を通して育てたかった子どもの姿は何であったのか、それを具現化できたのかどうかを吟味することです。「子どもたちは楽しく参加していました」では、具体的ではありません。
どこに関心をもち、どのように取り組んでいたかを具体的に取り上げなければなりません。
抽象論、建前論では、次年度に生かすことはできないですね。


企業目標でしたら、それは数値目標としてあげられ。かなり厳しく分析と反省が行われるようです。もちろん、学校教育目標は企業とは違うので、数値目標を決めることはむずかしいです。
それでも、学校一斉テストをして、漢字や計算の力を調べて、次年度の目標の一つ(あくまで一つです)にすることはあります。


他に反省の項目として考えられるのは次のようなものです。


学校内における事故やけがの様子と件数、そこから見える子どもたちの姿。
保健室への来室人数とその理由からわかる子どもたちの心の陰。
問題行動の内容とその時期、そして、その後の指導方法、及び成果の有無。
登校と下校の子どもたちの一年間の流れの中で、どのような変化があったか。
子どもたちの一年間の反省アンケート実施をして、子どもたちの楽しさの分析。
学校行事が及ぼした子どもたちの変容(意義と成果そして問題点)


他に学校の特色によっていろいろあると思います。
ただし、核になる反省内容と、末端的な反省内容を明確に区別したほうがいいと思います。
教育目標や努力も目標は、子どもたちの日常の子どもたちの姿を具体的に取り上げることで、その達成具合が少しばかり見えてきます。
それぞれの学年、学級の子どもたちの実態を露わにすることで、教育目標に迫ることができます。
ただ、それぞれの実態を出すことは、担任や指導の先生にとっては痛みを伴うので、避けて通りたいということもあります。

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