教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 263回 子育てマニュアルは子どもから(家庭も学校も)

子どもたちが自分自身をとても素敵な存在であると思うことは大切です。しかし、「どうせぼくなんか」「ぼくはだめだよ」とつぶやく子どもも少なくありません。


 今、親が子どもをみる目が厳しすぎると、子どもたちなりの感情や考えが育ちにくくなっています。厳しすぎる親は、現実の子どもに満足することなく、いつも不平不満をもらしておられます。
子どものためとは言いながら、親自身が求める子どもを養育しようと考えているように思われます。


 しかし、子どものことに一生懸命になられる気持ちもわかります。
公園などで、就学前の子どもたちを連れてお母さんたちが集まっています。ママ友というのでしょうか、近所のお母さんが子どものことや家庭の愚痴を話されています。(散歩していると聞こえてくる)
 たぶんに、他の子どもを見て自分の子どもの評価をしているように思われます。


お互いの子どもを見ながら、自分の子どもは発育が遅いとか早いとか比べることもあるでしょう。早いから安心、遅いから不安という気持ちになるかもしれません。
「競争」が始まっているのです。
暗黙のうちに、親同士の「子育て競争」が始まっているように思います。もちろん、そんなことはないという方も多いのですが。


競争で問題になるのは、教育・子育てのマニュアル化です。
友達の子育て情報もマニュアルとして働くでしょう。
そのマニュアルに子どもをあてはめようとすると、現実の子どもは生かされることはありません。
マニュアルは、決して標準化されたものではありません。百人の子どもには、百通りの養育方法があります。


今、このブログでお話していることも、その内容を目の前の子どもにあてはめてはいけません。ちらっと聞き流していただいたほうがいいです
子どもを育てるヒントは、それぞれ育てられている子どもの中からしか生まれてきません。子育ての方法は、目の前の子どもの中から生まれてきます。


先入観を小さくして、子どものシグナル、サインを受け止めていくうちに、見えてくる方法があります。
うまくいかなければ修正すればいいです。
足したり引いたりして「いい加減」の場合を見つけることが大切です。
「いい加減」な教育をお勧めします。


マニュアルにとらわれすぎると、幼いうちから、自分の子どもが何かに優れることを願い追い求めるようになることもあります。あるいは、遅れていると思って、子どもに余計な圧力をかけてしまうこともあるかもしれません。


より早く、より高く、より完璧に子どもを育てようとおけいこ事や塾に通わせることになります。(塾やおけいこが悪いとはいっていませんので)


 子どもたちは、親の期待どおりに育たないということをすべての親が知っているはずなのに、それでも期待してしまう親心なのでしょう。
 わかっちゃいるけどやめられない・・こんな歌がありましたね(古いなあ)


学級の子ども、家庭の子どもを育てる上で「失敗」はありません。
子どもは作品ではありません。
工業製品なら企画外のものができると失敗と言えるかもしれませんが、子どもは人間です。
人間が育つ、育てるのに失敗はないと思います。
命が育つ、それぞれの唯一の命が育っているのですから、学級においてもと゜の子どもたちもかけがえのないものですね。

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