教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 249回 学級づくりの見直し  吐かせて吸わせる 呼吸する学級

私たちは、当然のことながら呼吸して生きています。
学級において子どもたちは、自由に呼吸しているでしょうか。
緊張して「息を止める」。
当てられたら、叱られたらどうしようと「息を殺す」
自由に活動できない、自分を出せないと「息苦しい」ですね。
がんばれがんばれと先生がお尻を叩いて活動させるとき、先生のペースで活動や学習が進められるとき、ついていけなくて「息が切れる」こともあります。


先生からは、「ああしなさい。こうしなさい」と指示を吸い込むばかりで息をはき出すことができなくなります。
学習の場面では、先生が教え込むばかりで、子どもは「わからない」と息をはくことができません。
吸う(入力)はく(出力)が円滑にできているときはいいのですが、「吸って、吸って」ばかりになると、息をはくことができなくて苦しくなります。


「こんなこと言っていいかな」「わからないと言いたいけど」と、子どもたちは思っていても、自由に自分を出す、はき出す場面がないとしんどくなりますね。


先生は常に子どもに教え込み、評価しようとします。
それは大切なことですが、その習慣が身についてしまっています。
よく、先生たちレストランに行くと、店員に強い口調で指示したり店員の行動を評価したりしていることがあります。(もちろん、ないほうが多いのでしょうが)


子どもたちに対して,上から目線で指示、教え込み、評価をしているのを見ると、子どもたちは息苦しいだろうなと感じます。
指示、教え込みがよくないというわけではありません。
先生にとって必要なスキルです。
しかし、その隙間に子どもたちが息を吐き出す時間、ゆとりをつくることが必要ですね。


教材と出あう子どもたち。
まず、子どもたちの印象や感想を聞いてみましょう。
どこがおもしろいかな、どこが難しそうかな、どこがわからないかな等、子どもたちの思いを吐き出させることが先です。
水泳の呼吸指導のときに「まず、しっかりと息をはきなさい」と教えますね。
はきだせば自然に空気が体の中に入るからです。
教室も同じです。
先生が教え込んだとき、「ここで少し時間をおくね。すっきりしないことがあったら質問してごらん。となりの人と雑談してください」というように、子どもたちが自分の思いをはく時間を与えます。


低学年を指導していると、話したいという子どもたちの思いが強いです。
だから、しっかりとその思いをはき出させるようにします。
そのための時間をしっかりと保証します。
そのあとで、いよいよ先生の指導が入りますね。


問題を起こした子どもと面接をするとき、どうしても先生から先に指導したくなりますが、そこを、ぐっと抑えて、子どもの気持ち、言い分を聞いてみます。
なにも評価することなく聞きます。
先生は、子どもが一言話したら評価しがちですが、そうすると、子どもたちは息をしっかりとはきだすことができません。


いかなる場合も、子どもに息をはかせましょう。
子どもの思いをはきださせましょう。
子どもの考えたことをはきださせましょう。
呼吸する学級を求めて。

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