教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 248回 三学期は 喜びと辛さが同時にやってくる

一年間の学級生活もあと、3学期を残すところとなりました。
三学期は担任の先生にとって、つらい時であり、喜びの時でもあります。
三学期は、1,2学期の子どもたちへの指導の成果、問題点が表面化するからです。
子どもたちと出会った一か月ぐらいでしたら、目の前の子どもたちの問題点を今までの担任のせいにすることもできますが、9か月も関わった子どもたちですので、誰かのせいにすることはできません。
すべては、担任として指導してきた結果が表れてくるのが三学期です。


3学期は、1,2学期の学級生活を振り返り、修正を加えるときです。
3学期を消化試合のように生活を送らせるのではなく、先生が新たな気持ちで学級集団づくりに取り組むことが必要です。しかも、3学期は、来年度の学年にそなえて、いろいろと試すことのできるチャンスです。
9か月間の指導を修正します。
成果と問題点を分析します。


4月に子どもたちと出会ったときは、子どもとの関係づくりから始めなければなりませんでした。しかし、3学期は、子どもたちとは、良くても悪くても関係はできています。
だから、先生が今までできなかった試行的実践ができる学期でもあるのです。
子どもと先生との距離が近く(遠い場合でも)なっているからこそできることがあります。



学級生活が先生にとって都合のよい、まとめやすいものになっていないでしょうか。集団としてのルールで子どもたちを、子どもたち同士が縛りあっていないでしょうか。
学級はまとめるものではなく、まとまるものであると考えます。


電子レンジで食材をあたためるときと同じです。
直接、食材を熱するわけではありません。
ガスの火で食材をあたためても熱くなりますが、食材は表面的に姿を変えます。
ところが、電子レンジは違いますね。
食材の一つ一つの粒にエネルギーをあてることで、その粒を振動させます。
その振動によって、粒そのものが熱くなってくることで全体があたたまります。


学級づくりも同じです。
子どもたち一人ひとりにしっかりとスポットをあてます。
子どもたちに直接働きかけることで、その集合としての学級全体が温もりとパワーを持ち始めます。


学級づくりというのは、集団づくり、仲間づくりのことです。
子どもたちは家庭で教育されていますが、集団の中においてではありません。
子どもが人間としての生き方、学び方を身につけるためには、どうしても集団の中で個々の子どもたちを育てることが大切です。
学校教育の重要性はここにあります。


ただ、注意を要するのが、企業集団との違いです。
企業は営利を目的として、その中に個々の社員をはめ込んでいきます。
だから、集団のルールが優先されます。
優先されるなかで個々の社員の能力を発揮させようとします。
企業集団としては当然の在り方です。


しかし、学級集団は営利目的集団ではありません。
個々の子どもたちの満足度、人間的な成長が優先されます。
そのための学級集団です。


子どもたちが今の学級で、個々の夢や願いを具現化できるように学級生活を見直すことが必要です。

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