教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 233回 個別学習指導こそ 授業の中核

授業の中で全体指導は大切な場面ですが、子どもたちに個別学習させている時が最も大切な時間です。
全体で子どもたちを指導する場面が華やかに見えますが、実際は、個別学習にあります。
指導技術、先生の洞察力は、この時にこそ発揮されるものです。
だからこそ、先生は、全力で取り組む必要があります。


ややもすると個別学習は、子どもたちに任せているので、放任している場面が散見されます。
子どもたちが考えているのだから、特に、指導する必要はないと考えるのでしょう。
しかし、子どもたちが学習に対する実態を表すのは個別学習です。


机間巡視は、歩きながら観察することではありません。
「子ども一人ひとりに寄り添う」ことです。
さらに、子どもたちの学習における理解度を把握して「全体の授業に組み入れる」ことです。
この2つについて具体的にお話します。


「子どもたちに寄り添う」
机間巡視は、子ども(学習者)の視点に立って動くことです。
子どもの学びに近い位置に立てたらいいですが難しいです。。


算数の個別学習は、問題に対して、自分なりにさぐるときです。
解き方をあれこれと考えています。
しかし、全く手がかりの得ることができない子どもは、そこで、意欲を失ってしまいます。個別にしたばかりに意欲の低下が見られます。
個別学習にして一番喜ぶのは、算数のできる子どもたちです。
自分のペースで進むことができるからです。
全体学習では、「すでにわかっていること」につきあうことになるので、退屈気味になります。特に、塾に通っている子どもたちは、その傾向が大きいですね。


個別学習机間巡視ですることは


解決につまずいている子どもたちの横に身を置きます。
低学年なら、丸イスをもって座ります。
高学年でもできるなら同じ目線になるようにします。
「どこまでわかったのかな」
子ども「全然わからない」
「そうなんだ、あなたは、わからないということがわかっているんだね。それが一番大切なことです。」
「それでは、どこまでわかつているのかな」
子ども「ここまでは今までどおりで計算できたのだけど、次からわからない」
「わかること、わからないことをはっきりさせたあなたは、勉強ができるようになるよ」という対話をいれます。


そして、考えるヒントを与えます。
「こんなふうに考えてみたらどうかな」と話して、ヒントを少しだけ与えます。
ヒントでピントくるまで、少しずつ与えます。
その子どもが「あっ、そうか」という声がでるまで少しずつヒントを出していきます。
決して、先生は答えをだしてはいけないのです。
99パーセントのヒントであっても、あとの1パーセントは子どもの力でたどり着けるようにします。(自力でできたという満足感)
子どもなりに自分の力で見つけた、たどり着いたという気持ちになります。


先生の指導の言葉は、できるかぎり出し惜しみします。
こうして、子どもたちの鉛筆の動きが止まっている子どもを見つけて移動します。そして、一度、ヒント指導をした子どものところにもう一度いくようにします。
「どうだったかな」
子ども「先生できたわ」と言う子どもを確認します。
子どもはつまずいている自分に手を差し伸べてくれた先生に親近感を感じるようになります。
これが学習を通して仲良くなることです。


それでは、すでに自分で解いてしまっている子どもの場合はどうすればいいでしょうか。
いろいろな指示が考えられます。
子どもの思考をできたということで満足させないようにします。
「もう一つの考え方、解き方があるんだけど・・・」
「他の友達はどんなところがわからないのだろうか、考えてごらん」と示唆します。そして、場合によっては、その子どもに机間巡視させます。
友達の学習の様子を見させることで、自分がわかったということだけでなく、友達もわかるという視点に立たせるようにします。
さらに、「あなたにあとで先生の代わりに説明してほしいんだけど」と伝えます。
子どもは緊張と同時に張り切るようになります。
わかるということは、友達に伝えられるようになることです。
友達のわかり方を思いやる心が自然に芽生えてきます。

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