教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 223回 授業の成果は 子どもの表情が語る

授業参観をさせていただくときに、私が観察するポイントがあります。
教室の後ろから参観しないことです。
子どもたちの表情がほとんど見えないからです。


教室の横、できれば前よりに参観の位置をとります。
子どもの表情のみを観察します。
先生の言葉やしぐさは、背中で聞くようにします。


先生が何を根拠に授業を展開しているかが大切です。
自分の行った教材研究、指導計画をもとにして、そこに子どもたちを乗せていくようにします。うまく乗ったら、食いついたら成功です。だから、先生は、授業中、指導案、教科書、そして、時計を見ながら授業をします。
その姿勢が私に言わせれば「アウト」です。


授業の醍醐味は、子どもたちの表情の観察にあります。
教材提示、発問、助言に応じて、子どもたちの移りゆく表情を読みとっていくことがすべてです。それがおもしろさであり醍醐味なのです。


子どもたちがどのように受け取っているか
子どもの表情から察知
次にどのような助言をだすべきか
もう一度、課題にもどってやり直すべきか
教材提示の角度を変えてみよう
子どもたちの表情がにわかに明るくなった
子どもたちは簡単だという表情で安心している
よし、ここに、難しさの壁を持ってこよう
わかりやすさからわかりにくくするのだ
子どもの関心に火がついた
学びの見通しを持たせるヒント
火がついた子どもの学びは主体的になっていく
さらに、子どもたちの思考を広げる、深めるには
あっ、私の今の質問で子どもは一瞬、混乱したぞ
訂正、修正・・・
全員が理解したのか
まだ、あの子の表情が暗い
理解しにくいのだ
班学習にして、少し理解のための時間をとろう
「今、どんなことがわかればいいのかな」
「どんなことがわかったのかな」
「どんなことがすっきりしないのかな」など
子どもたちの理解を言葉でつついてみる


45分間、時計を見てしまうと、その瞬間、私の目が子どもの表情から離れてしまいます。
教科書も指導案も頭の中に入れておきます。
それでも、振り返ることがあります。


授業の45分間は緊張の連続です。
教材と子どもたちの往復活動です。
その時の決め手は、子どもたちの表情です。
喜ばせて、困らせて、びっくりさせて、がっかりさせて、そして、ゆさぶって、学習にやる気を持たせるのが授業の醍醐味です。


授業の修行の最初は、時計を見ないことです。
腕時計をはずします。
教室の時計は、前面の黒板の上に取り付けます。
時計は、子どもたちが「先生のつまらない授業のとき、もうすぐ終わるぞ」という気持ちを持たせるために前にかけておきます。
私のおもしろくない授業に対する子どもたちへの罪滅ぼしです。


時計を見ないで授業をします。
最初は早く終わりすぎたり、時間が足りなくなりますが、45分間の時間感覚を養います。
そして、子どもたちの表情から目を離さない努力をします。
難しいですが、意識していくうちにできるようになります。

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