教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想178回「ごんぎつね」と私 物語文の研究とその指導 3回

一場面の前半の指導です。先生によっては、一場面を一時間で指導されるようですが、私は、どうしても前半で切ることにしました。
最初に、ごんの境遇、住んでいる環境、そして、ごんの行動から、ごんについての理解を深めさせたいと考えました。
ごんの原点は、しだのいっぱいしげった森の中のほらあなにあります。
このほらあなから出て人間社会に近づいていきます。
人間に関心をもち、関わることでごんは、このほらあなには戻れなくなってしまいます。


授業過程


1.本時目標
 一場面の前半を読んで、ごんをとりまく環境と人物像を読み取ることができる。
2.指導にあたって
○子どもたちからでてくる読みを大切にしながら、子どもたちが読めていないところを深く読めるようにすることを作品を通しての課題とする。
○ただし、決して、先生の思いを押し付けることのないように注意が必要である。子どもたちの読みには、常に幅があることを留意しておくことが大切である。
○子どもたちの読めている部分からスタートして、子どもたちの読めていない部分に子ども自身が目を向けられるようにしたいものである。
〇ごんを批判的に読ませない工夫が必要である。「ひとりぼっち」というごんの身になって、いたずらへと走るごんへ共感させることが指導の重点になる。
 ごんを批判的に読むと、最後に火縄銃でうたれたことが当然であるという結論をだしてしまうことになる。


3.指導展開・・・めあて ごんはどんなきつねですか。
Step1
①課題をもって一場面前半を音読する。
②黙読しながらわかるところに線を引く。
③発表する。 ⇒ 板書する。
 ・ひとりぼっちのきつね
 ・いたずらばかりするきつね
 ・さみしいきつね
 ・友だちがいないきつね
 ・人間に近づきたいと思うきつね
※文のどの部分からそのように思ったのか、根拠を出させます。
 文章事実から離れてしまったら、それは国語の学習ではなくなります。


Step2
「ごんはどうしていたずらばかりをしたのですか。」


①いたずらしたことを全体でまとめる。
「夜でも昼でも」「ほり散らかす」食べるわけではない
「火をつける」「むしり取る」食べるわけではない
「いろんなことをした」⇒他にどんなことをしたか.
②いたずらしたわけをノートに書く。
 ※どのようないたずらをしているかを注意深く読ませることが必要です。
  食べるわけでもない、あえて、人間に目立つようなことをしている、その心は
  という感じで進めていきます。
③理由を発表する。⇒ 板書
③出し合った内容について話し合う。
ごんのいたずらを共感的にとらえさせることが最重要である。


・・・発表と話し合いについて・・・
授業において、学習の広場をつくり、その上にビルを建てます。
発表は学習の広場をつくります。できるだけ広い土地がいいですね。
それが終わってから、ビルを建てて(話し合い)内容を深めます。
だれか一人の発表でそれに対してだれかが意見を言うのではありません。
子どもたちの考えが十分に黒板の上にのせてから話し合いを始めるようにします。
違った考えが黒板に上がっているほうがおもしろいですね。


Step3
「ごんへの手紙」という形式をとります。
場面ごとにごんの行動について、自分なりの感想をもてるようにします。
いろいろな書かせ方があっていいと思いますが、私は、子どもにとってごんの存在を引き付けてとらえさせたいので、「手紙」(一対一の関係)という形にしました。
子どもたちは、ごんに語りかけるように書きます。

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