教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 155回 日直におけるリーダーシップの育成

再び、学級経営案からの実践例です。
日直、日番は、多くの学級でつくられています。
その役割は窓開け、朝、終わりの会の司会、宿題集め、提出物集め、簡単な拭き掃除、教室の整理整頓などがあります。
何をしてもいいと思いますが、そのねらいを明確にして活動させたいですね。


その時の5年生は、自分たちで物事を前に進めることが苦手でした。
一人ひとりは自分の考えを主張します。集団となるとまとまらなくなります。しかし、彼らの一人ひとりのエネルギーはパワフルでした。


学級の組織をつくるとき、大切なのは、子どもたちにリーダーの権限を与えて責任を持たせることです。先生に助けてもらおうという甘えを少しずつ減らすようにします。
自己主張の強い子どもたちは、目立ちがりやで中心になりたいという気持ちが強いです。


私が日直の子どもに与えた権限は、先生からの連絡を聞いて、それを責任持って学級全体に伝えることです。先生から直接、子どもたちに連絡しないようにしました。


もう一つは、挨拶です。
全員起立、体と空気が静止する瞬間(みんなの姿勢がそろった瞬間)を日直が判断して「おはようございます」とあいさつの先頭を切ります。
これは、日直が全員に目を配らなければできないことです。
全員の動きと空気をつかむ練習になります。


三つ目は、朝、終わりの会の司会です。
先生が来なくても、チャイムと同時に開始させます。
先生がいなくても子どもたちの会だから責任をもって運営させます。
朝集が終わって教室に行くころには、子どもたちだけで会が始まっています。
先生を待たずに始めていく意識をもたせます。
会は子どもたちのものだから、先生はできるだけ妨げにならないようにします。
朝、入室するときは、教室の前からではなく後ろから静かに戸を開けて入ります。そして、後ろで子どもたちの会の進行を見守っています。
最後に「先生から付け加えることはありますか」というコーナーをつくり、今日の予定を補います。(事前に日直に連絡していることで疑問があれば)


ちなみに、教室で先生がどの位置にいるかはとても大切なことです。
後ろは傍観者、子どもたちに任せるという合図です。
横から前に出ていくときは、そろそろ先生が加わりますよという合図です。
これについては、授業の話で先生の動きについて詳しく説明します。


日直に会の進行を任せますが、先生はサポート役に徹するようにします。
ここでいちいち先生が指示をだしていたのでは、何のために任せたかわかりません。子どもたちの意欲がしぼんでしまいます。


これ以外に窓開けや教室の整頓をさせる学級がありますが、私は、そういったことは、気づいたものがすればいいと考えていました。ということは、先生が教室に早く入室したなら、先生が窓をあければいいですね。
先生のベッドシップは、子どもたちに自然に入っていきます。
先生の背中を見て、子どもたちが育ちます。
もちろん、悪いことも身につけさせてしまいが・・・。


おもしろい話があります。
2年生の教室を通りかかったとき、曇天の日だったので教室が暗くなっていました。私は「どうして教室の電気をつけないの?」と教室にいる子どもたちに問いかけました。すると、その一人が「まだ、教室のあかり係がきていません。」
気づいた人がすればいいことまで、係や当番活動にさせていることがあります。あかり係が欠席したらどうするのでしょうか。


特権を与えることで、子どもたちの当番や係活動は意欲的なものになっていきます。先生の仕事の補助活動ではありません。
子どもたちの活動には、権限と責任を与えることです。

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