教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 154回 夏休み明け 授業で子どもたちの意欲を回復

学級経営案の具体例よりも急ぎますので、この話題を取り上げます。
夏休みも終わりになります。
地方によっては、二学期が始まっているところもあります。
子どもたちは長い夏休みのなかで、生活リズムが崩れています。
長期休暇は、学校から家庭の場に子どもたちの生活の場を移すことです。
学校の管理下ではなく、それぞれの家庭の生活リズムに慣れてしまうことです。
したがって、休み明けに登校しても子どもたちの体や心が学校の決まりにすぐに順応しません。
「もう学校が始まったのだから、きちんとしなさい」と注意したくなるものです。
「きちんと」とはどうすることなのか、子どもたちはわからないまま、暑さでだらけた重いからだを学校生活、先生の指示に合わせようとします。


9月の前半ぐらいは、まだまだ暑い日々が続きます。
子どもたちも夏休みの生活リズムから抜け出ていません。
体調も完全とはいえません。
その上に運動会の練習が入る学校においては、子どもたちにとって地獄です。いきなり管理下におかれる窮屈さが子どもの意欲を減退させることもあります。


そこで、九月の前半、少し涼しくなるまで授業の進め方、内容を修正します。
特に、10日間はゆっくりと進めるようにします。車と同じです。エンジンをかけていきなり走らせるのではなくアイドリングが必要な時があるように、授業も学習進度を遅い目にします。


学校生活のリズムは授業で取り戻します。
授業内容が楽しければ、一時間いっぱい使ってもいいのですが、もう一つ、子どもたちがのってこないときは、早めに授業を終了します。つまらない授業を長々としないようにします。
ただし、開始の時刻は先生が厳守します。 子どもがそろっていなくてもチャイムと同時に授業を始めます。
先生がけじめをつける行動にでます。
何回かのうちに、子どもたちがチャイムでそろうようになってきます。


ここで大切なことがあります。
夏休み明けの子どもたちの動きを観察してください。
一学期に身につけた習慣(学習・生活)のどれだけが残っているか、崩れているかを調べます。夏休みの一か月少しで崩れているものは、定着していないものですから、再度、同じことをゆっくりと指導します。
くれぐれも「あなたたち、一学期きちんとできたのに、どうしてできないのですか」などと叱責してはいけません。
子どもの事実から指導が始まります。
できていないことは、先生の指導不足にすぎません。
一学期に指導したはずなのにできていないことは、もう一度一学期の状態から始めると、子どもたちの思い出す時間が早くなります。


ここで大切なことは、学習内容よりも学習意欲の回復、助長なのです。
具体的にお話します。


授業内容は、一人で作業する学習、自習的な学習を増やします。
ノートに書く、試写を取り入れます。
自分のペースでできる学習にするのです。
最初から、学級(集団学習)のペースにもっていかないようにします。


クイズ形式の授業も効果的です。みんなで答えを考えあう内容にします。
そして、一日の時間割を見て、学習形式、形態ができるだけ同じにならないようにします。
さらに、目玉になる授業、子どもにとって楽しい授業を一つ計画しておきます。
子どもにとって、同じ形式、形態の授業を5時間も続いたらうんざりですね。


子どもたちの健康観察が重要です。
授業中の子どもの顔色を注意深く観察して、子どもが不調を訴える前に先生が「しんどそうね」という声かけをします。
子どもたちの体調を受け入れます。しんどくなる前に受け入れることで安心する子どももいます。


学習内容を絞り、難易度を少し下げる。
難しいものよりも全員が心地よく参加できる内容にします。
国語では、音読を楽しんだり漢字内容を広げたりします。言語事項の内容から入るようします。いきなり読解指導の教材はさけます。
作文でも5分間作文や百字など条件設定をした学習に挑戦させます。


余談になりますが、二学期の始業式の日に作文の時間を設定します。
題名は「始業式、その前の夜」です。
明日から学校に行かなくてはと思っている前の夜にしたことや考えたことを自由に書かせてみます。
子どもたちの期待、不安、焦りなどが見えてきます。
子どもの実態を知るための一つの方法です。

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