教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 147回 理科の学習(4) せみの亡骸 冬越しの生き物

先日、夕方、散歩していると、ある家の前の玄関の様子でした。
子どもと母親が買い物から帰ってきて、門扉を開けて家に入るところでした。
門扉をあけたその下にセミが死んでいました。
それを見て、母親らしい人が、「いややねえ、こんな所で死んでるよ。」と言って、足で外に出そうとしていました。
その様子を小学生の男の子が黙って見守っていました。
私は、何とも言えない気持ちを残して、その家を後にしました。


私の家でも最近では、毎日のように敷地の中でセミが息を引きとっています。セミのお墓を作っていますので、そこに丁寧に埋めてやります。メジロが亡くなっていたこともありました。玄関の前です。私に見つかるように死んでいました。メジロがやってきたのでした。もちろん、土の中に埋めてあげました。すると、次の日にもメジロが玄関の横に死んでいました。
どうして続くのか、不思議に思いながら埋めました。


実は、お盆の時に、今までいろいろな動物がやってきました。
私は、亡くなった父が戻ってきているように思えるのです。(すいません、そんなバカなことを言ってと思われそうですが)
去年は、やもりが家の中に訪れました。その前は、私の部屋にコウモリがやってきました。
不思議にお盆の時なのです。
つまらない話ですいません。


話を戻しますが、命を大切にする心を育てることは難しいですね。
私自身が若い時から強い関心をもっていたかというとそうでもないのです。セミの命と私の命が重なり合わないとだめなのでしょうね。


緑道を歩いていると、親子づれが網でセミを採っていました。
私に「ほら、こんなに採ったよ」と言って見せてくれました。
生き物と直接接する体験は大切です。
ただ、この子は、かごの中に入れたセミをこれからどうするのかなと考えてしまいました。


さて、夏休み明けは、学校の中にもいろいろな生き物が命を終えています。
教室の中の植木。学習園の栽培植物。
子どもがそれを目にした時、どうするのでしょうか。


生き物の学習を設定するとき、
人間にとって、春はどんな季節か。
虫にとって、春はどんな季節か。
特に、私が力を入れたのは、冬です。
人間とちがって、すべての小動物にとって、冬は命がけだということです。
寒さをしのぐという簡単なものではなく、死ぬか生きるかの闘いです。
「冬の生き物」という単元があります。
冬の生き物は、寒い冬をどのように過ごしているかを観察を通して理解することがねらいになっていますが、そんなにさらっと流されものかといつも不思議に思っていました。
冬の寒さは、生き物にとって命がけで迎える季節であることです。
人間は厚着をして、暖房を入れたら凌ぐことができますが、生き物は違いますね。


以下私の指導計画の抜粋です。
単元目標
○ 動物や植物が冬の厳しさに耐えて過ごすことがいかに大切で大変なであることに気づく。
○ 植物は、冬の寒さに耐えるための工夫をしていることに気づく。


子どもたちへの導入としてのお話


植物たちは、みんなかれてしまうのでしょうか。
植物がすくすくと育つためには、太陽の光や暖かさ、養分やそれを溶かす水が必要だということを知っていますよね。
冬になると、これらの条件が悪くなってきます。
昼の時間が短くなるし、寒くなります。
水分は、雨から雪になったり氷になったりして取り入れにくくなります。


みなさんは、とても寒くなったり食べ物が少なくなったりしたらどうしますか。おうちの中へ入ったり服をたくさん着たりして暖かくできま.
お店に行けば食べ物を買うこともできます。
植物はそんなまねはできません。
それではどうするのでしょうか。
冬になる前に命を守るための工夫や準備をしているのです。
そして、活動をやめて休んでいるような眠っているような状態で冬を過ごします。
いったい、どんな工夫をしているのでしょうか。


以下、ネット資料より   ※参考にしてください。
植物の冬越し
A.一年生草本の場合
 春に種から芽を出して、秋に実のなる大部分の草たちを「一年生草本」といいます。ツユクサ、エノコログサ、メヒシバなどがこの仲間です。これらの植物は冬になるとかれて死んでしまうのです。だから、冬になる前に新しい種をこしらえ、冬の厳しさに負けないように丈夫な殻の中で、春までじっと耐えるのです。


B.二年生草本・多年生草本の場合
 二年生草本とは、秋に芽を出して、小さななえの形で冬を越す草たちのことです。
ハルジオンやナズナなどがこの仲間です。また、多年生草本は、一見、地上に出ている部分がかれて、死んでしまうように見えますが、土の中で茎や根だけは生き残っていて、春になるごとに新しい芽を出して生きつづける草たちのことです。ススキやユリなどがこの仲間になります。小さななえで冬を越す草は、下の図のようにまるで地面にはりついたような形をしています。これは、ロゼットといわれています。バラの花の形という意味です。見てお分かりの通り、茎がのびていません。地面に大きく葉を広げ、冬の少ない太陽の光と熱をより多く受けとめようとしていることがわかります。
タンポポのロゼット ハルジオンのロゼット
C.木の場合
 木は、春に向けて新しい芽を準備して厳しい冬を越します。
芽は、葉っぱになったり花になったりする大切なものですから、丈夫な皮などでおおわれています。葉になる芽を葉芽(ようが)、花になる芽を花芽(かが)といいます。なかには、葉と花の両方が入った混芽(こんが)というものもあります。
 芽の中には、「成長点」があります。これは細胞分裂をして植物を大きくしていくところですが、柔らかい細胞でできているので低い温度や乾燥に弱いのです。だから、冬の間、冷たい雪や寒い風などにさらされてもいいように工夫をしています。
たとえば、葉を変化させた魚のうろこのような形の皮で何重にも芽の先を包みこみます。これを「鱗片」(りんぺん)といいま
す。あるいはまるで帽子のように芽をおおうものもあります。
 これを「ほう」といいます。また、それらの表面に細かい毛が生えているものもあります。工夫は、芽だけではありません。幹の周りはコルク層という水を通しにくいものでおおわれていますし、冬でも葉を落とさないツバキなどの葉は、ろうをふくんだクチクラ層でおおわれつやつやして見えます。
植物は、自然の力に逆らわず自然と調和して、したたかにいのちを伝えているのです。


虫の冬越し・・・活動しやすい季節ではない。
 ①卵で冬をこすもの・・・カマキリ  オンブバッタ  トンボ  ガ
 ②幼虫の姿で土の中で冬ごしをするもの・・・カブトムシ
 ③成虫のまま落ち葉の下や木の皮の下でじっとしている
    カメムシ  テントウムシ  クモ  ダンゴムシ
    カミキリムシ  
 ④さなぎ  モンシロチョウ  


以上ですが、
先生は、事前に学校や道端を歩いて観察することが必要です。
まずは、指導者が感動する、疑問をもつ経験が必要です。
そうでないと、知識注入だけの生物学習になってしまいます。
理科は、目の前の生活の事実から始まっています。
身の回りの事実から始まらない理科の学習が多くなっているように感じるのは私だけなのでしょうか。

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