教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 141回  指導効果のバロメータはどこにあるか

実社会と教育界を比較して営利専門の職場であれば結果はグラフに表すことができます。しかし、教育という仕事は、これといった決め手がないからむずかしいといわれてきました。
 それでも、その度合いのはかり方はあると考えます。
 そのいくつかをお話します。
 今までお話してきたことと一部重なりますがお許しください。


①子どもが家に帰って学校のことを話題にするようになる。


学校が楽しいと家に帰ってから土産話のように子どもたちは親に話しています。懇談会の時に、親に「どうですか、学校のことを話していますか。」と尋ねるようにします。


②全校集会の時に顕著に表れる。


朝会や集会において、集合、整列が早くなります。
子どもたちの集団に対する意識が違ってくるからです。
友達の中での自分を意識します。今、自分がどうすることが仲間にとって、集団にとってよいかを考えるようになります。


③担任以外の先生に対しての態度に好感がもてる。


これは大切なことです。子どもたちが担任の目の届くところではいい子にしているけれど、その視野からはずれるとはめをはずしているということがおきます。
専科の先生とできるだけ話しをするようにします。
専科の授業の様子が普段の子どもの様子と大きな差(専科の先生の姿勢によって多少は変化します)がないかを確かめます。
担任の先生の指示に従うのに、他の先生の指示には従わない極端な場合が見られることがあります。
担任の先生が強圧的ですと、その他の場所や人の前では、違った行動にでることが多いですね。
教育効果は、教室を離れた時にこそわかるものですね。
先生が出張した時、子どもたちだけで過ごすときの教室の様子です。


④職員室に一人で入って来れるようになる。


子どもに自信が漲ってくると、職員室に一人でこれるようになります。
だれか道ずれにして入ってくることはありますが、一人で職員室に入り、他の先生にも挨拶ができるようになります。


⑤廊下の歩行に細かい配慮が見られる。


友達にぶつからないように、まわりを意識しながら歩きます。
出入り口では、お互いに譲り合えるようになってきます。
周りの友達に配慮しようとする態度が表れてきます。


⑥給食の器具や清掃用具の扱い方がていねいになる。


学級が荒れてくると、清掃用具が壊れたり、給食の食器を乱暴に扱ったりしています。
子どもが落ち着き、学級に楽しさがてでくると、不思議なことに教室の物が壊れなくなります。


⑦放課後、子どものいない教室に秩序が見られる。


子どもたちの成長、学級に対する気持ちは、子どもたちが帰ったあとの放課後の教室に表れます。
机いすの整頓、ロッカーの整理をしてから帰るようになります。
放課後は、子どもたちの学級に対する気持ちがよく表れるところです。
放課後に他の教室を巡回してみてください。
それだけで学級の今の現状がわかります。


⑧落とし物、忘れ物が減る。


忘れ物をする子どもは決まっていることが多いですが、少しずつ少なくなってくるかどうかに注目します。
落とし物は、子どもの自己管理と意欲の問題です。
野球の好きな子はグローブを忘れることはありません。


⑨友達との会話に、友達の陰口、悪口が減少し、差別的言動がなくなる。


まだまだたくさんあると思います。
それぞれの先生の教室で探してみてはいかがでしょうか。細かいことでいいのです。
 上のようなことが1年間かかってできるようになればいいですね。
 目標ではありません。
 単なる子どもたちの成長のバロメータです。
 できることなら、バロメータは指導しないようにします。
 温度計に息を吹きかけて、気温をあげるようなものです。

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