教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 137回   授業のねらいは 「自主」と「協同」(中距離目標)

授業で子どもを育てます。
授業で集団を育てます。
授業以外の場でも教育はありますが、子どもたちを飛躍的に変容していくのは授業(学習)です。
だからといって、生徒指導や学級活動などがいらないというのではありません。


前回、教育の中距離目標についてお話しました。
授業(学習指導)を通して、どのような子どもをめざしていくのか、その一つとして、「自主協同学習」があります。
これは、私の師から受け継いだ学習理論であり実践です。
私が授業を語るとき、いつも、この自主協同学習の理論が根底にあります。


複数の子どもを集めて、集団を意識した学習を展開します。
個人学習では、決して到達することのない効果が潜んでいます。


授業の根底にある考え方、中距離目標として自主的な子ども、協同的な子どもを目指しています。
  学習を通して社会性(協同性)を身につける。
  自分を集団の中で見つめ、主体的、自主的な姿勢を育てる。
 この二つのことを集団学習の根底におきます。



「学習を通して社会性を身につける」


授業において、自分の意見ばかりを主張して友達の意見を聞こうとしないわがままな子どもがいます。学習において、自分だけの考えだけではなく、友達それぞれの意見が重なり合って、学習が深まっていくという実感を多く経験していくと、他者を認め相手の考えに耳を傾けるようになってきます。授業を通して、子どもたち相互の考えを聞きあい、認め合うことが大切であることに気づかせていきます。


クラスの中でおとなしくて勉強の苦手な子どもがいます。
子どもたちは、その子のことを自分よりも低位な子としてとらえています。
いじめにあうこともあります。
しかし、そういった子どもを集団学習の中で、その子のつぶやきを大切にし、そのことによって学習を広げたり深めたりできるように授業を進めます
その子の違った側面を他の子どもたちに見させることで、彼の評価をアップさせます。
「○○ちゃん、すごいなあ」と言わせるような授業を計画していきます。


「自分を集団の中で見つめていく自主性」


他の子どもと自分を比べることになります
友達との共通点や相違点などを見つめられるような場を意図的に授業の中に設定します。
たとえば、国語の感想発表の場では、お互いの感じ方を認めあえる場になります。あるいは、共通点を見いだして、仲間意識が生まれることもあります。
友達を通して自分を見つめる、友達の目にうつる自分の姿を見直せる場を設定します。
それは、友達からの評価ですね。友達からほめられることで自分という人間を見直すこともできます。


授業は車の両輪です。
自主 と 協同 を目標とした授業が 自主協同学習です。


一つは、子どもたちの社会性、協同性を培います
もう一つは、自分を見つめていく自主性を育てます。
この二つの車輪が動いている授業を計画実行していくことを心かげます。


 うまく説明できないのでわかりづらいかもしれません。この両輪をもっと簡単にします、
それは「自主」(自分を見つめる)と「協同」(社会性)です。
自主とは、自分が生きていく主人公であると意識することです。
自分の考えや感じ方を大切にすることです。
だから、友達との違いにおいて自分をしっかりと見つめていくことです。
そのような視点にたって、話し合い活動を指導していくことが大切です。
「○○さんと同じで」「○○さんと違って」という話し合いの根底には、自主の考え方が息づいています。


「共同」は、二人以上の人が仕事を一緒にすることです。それに対して「協同」は、二人以上の人が力を合わせて共通の目標をもって仕事をすることです。


協同する力は、集団学習において培われてきます。
集団学習は、学習目標に向かって、子どもたち全員が力を合わせて解決していきます。
子どもがお互いに切磋琢磨して成長する集団を育てるには、授業(学習)のあり方を見なおしてみることも大切ですね。


これから授業については、少しずつ具体的にお話していきます。

×

非ログインユーザーとして返信する