教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 134回 異を求めて 和を願う 話し合い学習

子どもにとって、全くおもしろくない授業は一問一答式の授業です。
先生が質問して子どもがそれに答えます。先生がまた聞き、子どもが答えるというのが、一時間中繰り返されて終了します。


このような形式で授業されると、子どもたちは途中で学習の場から退散します。
これを4月から一年間続けたら、優秀な子ども以外は堕落します。
先生が誘導尋問します。自分の望む答えがほしいからです。その答えがでるまで問いかけ続けます。
そして、子どもからその解答を得ることができたら「そうだ、よくかんがえたね。」と子どもを賞賛します。これに乗って頑張る子どもは、優秀児です。数人程度から10人くらいまでの子どもですね。


これに対応するのが問題解決学習です。
一時間に学習すべき問題を最初にしっかりと把握、確認します。共通の課題をもちます。


次に解決方法を検討します。
この方法は先生が決定することが多いです。
最初のうちは、子どもたちに方法のレパートリーを教えるためにはいいと思います。
やがて、自分たちの問題をどのように解決していくかを、先生の助言をもとに話し合います。
5,6年生なら、自分たちで決定できるように育てます。
中学年では、先生と子どもとの半々の力で決定できるようにします。
個人学習、ペア学習、班学習(4人程度)、相互学習、全体学習という手段を選択します。


予想段階を取り入れます。
 「読んで考える」「書いて考える。「話し合って考える」「先生にヒントをもらって考える」などの活動を取り入れるタイミングを決定します。


検証です。
 読んで確かめる 解いて確かめる 調べて確かめる 実験や観察をして確かめる などの方法によって、自らしたことを検証します。


先生の役割
 解決のための資料提供
 子どもの学習が滞っているときの相談相手
 要を得ない子どもの発言の是正、助言、援助


一問一答式の授業では、問われたことしか答えられない子どもがでてきます。先生の問いに対して、複数の解答をもっている子は、その子は「この先生ならば、この解答を要求している」と考えて、発言する子も現れます。
優秀児の多くは、先生の顔色を見て発言しています。
そのことに気づかないのは先生だけです。


しかし、問題解決学習では、自分の経験や考え方を自由に話すことができます。友達と自分の意見を比較検討したりして和やかな雰囲気の中で学習することができます。
実は、この柔らかく明るい空気が子どもたちの思考を柔軟にし、感性を豊かにするのです。
違う考えがでることで、それらを話し合うことによって、違いと共通性が明確になってきます。
話し合いとは、お互いの考え方の差をとって和をはかることです。
「差とり」が子ども同士の認め合いにつながります。
ですから、問題解決学習の根底にあるのは、人間の本質的な考え方の違いを公けにして歩み寄りをめざすことです。

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