教育随想1090回 1年国語「たぬきの糸車」指導 第5回
教材研究はどこまで大人の研究です。
教師である前の一人の大人としての作品解釈です。
しかし、この作品解釈を子どもに向けての教材解釈に移します。
作品と子どもとを関わらせ方を研究します。
「展開の角度」は、、子どもに対する作品の見せ方であり指導の角度です。
子どもはこの作品のどこに興味関心をもつか。
この作品のどこから入ると子どもにとって読みやすいか。
子どもの作品への入口を探すものです。
○子どもたちは、たぬきの純真さ、幼さ、かわいらしさに夢中になるであろう。しかし、そういったたぬきのすてきな面を引き出しているのは、おかみさんの優しいまなざしと微笑み、そして、すべてを受け止め深く包み込む優しさではないか。
○ややもすると、たぬきのかわいらしさばかりに焦点があたりがちであるが、おかみさんという人間の人柄があってこそたぬきが生かされているということに気づかせたいものである。
○たぬきとの心の交流を通して、おかみさんの気持ちが変わっていく様子を読み取らせたい。
○おかみさんが、たぬきを「いたずらたぬき」「わるだぬき」という見方に固執していれば、たぬきは永遠に「いたずらだぬき」で困った存在であったろう。
○「たぬきと糸車」ではなく、「たぬきの糸車」という題名の意味を学習の最初と最後に考えさせたい。
○
「おかみさんの糸車」ではなぜだめなのかも考えさせる。
○そこで理念として次のことをあげる。
人を先入観でみるのではなく、微笑みでもって受け入れていく、相手のよさを
見抜いていく、見守り続けるやさしさをもつ。
○たぬきにとって、糸車はいたずらの対象にしかすぎなかったが、後半では、おかみさんに気持ちを伝えるための大切な媒体となったのである。
○挿絵が場面ごとにあるので、その絵をもとにして、本文にはない声を想像しあいながら、豊かに二人の交流を想像できるようにする。
○じっくりと時間をかけ情景や言葉からわかることを書き込ませる。書き込みは、最初なので慣れないと考えられるので丁寧に指導する必要がある。
◎書き込ませることで、じっくりと文章や言葉に寄り添いながら、叙述に即して考えを持てるようにしたい。
◎吹き出しを使うことによって、登場人物の気持ちを声に表わすことで、人物の気持ちを想像しやすくする。
◎ペア学習の本格的導入の開始。(集団学習の一端として)
ねらい
①友だちと一人の人間として向き合うことを通して、良好な人間関係が形成されるようになる。
②友だちと意見交換することで、友達との類似点や相違点を意識させ、そのことで、自分の考えがふくらんだり修正されたりしていくことに気付けるようになる。
③自分が思いつかなかったことを友だちが教えてくれることで、相手を尊重する態度(仲間っていいなあ)が育つようにする。
④ペアによる話し合いは、全員で話し合いをしていくための基礎技能を養うことができる。・・・聞き取る、聞き返す、聞き分ける
。
◎全員学習における支え合いを大切にした話し方活動の試み。
基本話型の導入によって、お互いの意見の受け方を学ばせる。
4.指導計画
○ねらい
いたずらたぬきの純真さとかわいらしさに心を引かれ、そんなたぬきを見守りながら包み込んでいくおかみさんの優しさとそれに応えようとする健気なたぬきとの心の交流を想像することができる。
○計画(ねらい)…8時間
第1次 学習の見通しと読みの準備…1時間
○ 題名や挿絵からお話の内容を想像することが
題名想起・登場人物・挿絵からあらすじ把握
○感想を書いて、発表することで学習計画をつかむ
感想発表(疑問も)・場面分け・言葉の研究
第2次 場面ごとに読み深める
第1場面 山奥の一軒家の様子といたずらするたぬきときこり夫婦の関係をつかむ。…
1時間
第2場面 糸車にひかれるたぬきの様子とたぬきにかわいらしさを感じるおかみさんの様子や気持ちを想像して読み取る。…1時間
第3場面 おかみさんがたぬきをにがしたわけを考える。・・・1時間
第4場面 春になって戻ってきたおかみさんが驚き、びっくりする様子を読み取る。・・・1時間
第5場面
夢中で糸を紡いでいるたぬきと、その姿を見ているおかみさんの様子や気持 ちを読み取ることができる。…1時間
第6場面 おどりながら戻っていくたぬきの充実感や満足感を読み取る。
…1時間
第3次 物語全体を振り返る。
○物語のおもしろいところをみつける。・・・1時間
おもしろいとおもったところを見直す。
○読み取ったことをもとに、場面の様子を思い浮かべながら、
楽しく音読する。…1時間
※紙芝居にするという案があるがどうするか?
一年生は、文章だけから作品を想像することは難しいから挿絵、吹き出し、さらには紙芝居を入れるのはいいが、あくまでも、それは、読むための補助手段である。
読むことは、言葉や文章を自分の中に取り込んで、自分なりの絵や音を浮かび上がらせることです。
大人が小説を読むように。