教育随想1086回 1年国語教材「たぬきの糸車」指導研究 第1回
一年生の物語文の指導は、身をもって作品のなかに没頭することである。夢中になる子どもを育てたい。
以下私の実践例です。
1.単元のねらい
○語のまとまりや言葉の響きなどについて考えながら音読することができる。
➡子どもは言葉を声にだすことで自分の気持を表す。
しかし、一年生の子のなかには、自分の気持を言葉に
載せられない子供がいる。
恥ずかしさもあるが、音読による表現の仕方がわからな
い子がいる。
○登場人物の行動を中心に、場面の様子に注意して、想像を広げることができる。
➡一年生の子は、主人公になりきる。
主人公の行動をくわしく追っていくことで、自然に人物
の気持がわかる。
「場面の様子」(背景)においては、特定の環境のなかで
の行動である。
場面という条件設定のなかでの人物の動きであり言葉
である。
そのあたりの一年生なりにわかるようにしたい。
○たぬきやおかみさんになったつもりで、本文にない言葉を考えて絵にあうように書くことができる。
➡たぬきになりきっている子供たちをたぬきから切り離す
のが、おかみさんの視点にたつことである。
たぬきの気持に寄り添うこと、たぬきをおかみさんと
いう立場で眺めてみることでたぬくの行動がより理解
できるようになる。
2.教材解釈
場面ごとに解釈を試みる。
○いたずらものだが憎めないたぬきと人のよいおかみさんとの温かい交流の姿が、人里離れた山の中の一軒家を舞台に繰り広げられる。
➡たぬきのいたずらを包み込毛おかみさん、さらに、その
様子を包み込む人里離れた山の中の一軒家。
たぬき < おかみさん < 山の中一軒家
○かわいらしいたぬきが、おかみさんのまねをして糸車を回す姿を想像しながら、たぬきやおかみさんの気持ち、その交流の様子を豊かに読み取れる作品である。
➡「豊かに読み取れる」とは、多角的に読み取ることであ
り、細かい描写に深く気持が入っていくことである。
○いたずらもののたぬきがやりたくてたまらなかったことを思い存分やりつくして喜んで帰っていくまでのお話である。
➡「思い存分やりつくして」これ以上することがないと
いうのが「やりつくす」である。
もっとしたかったことはなかったのかを考えることで
そこに、読者である子どもの個性が現れる。
作品を読むと同時に「自分を読む」姿勢を育てる。
○作品の柱となっているのは、「たぬきのいたずら心」であり「おかみさんとたぬきの心の交流」である。
➡いたずらができるのは、やさしく見守るおかみさんの
温もりである。
このあたりで、子どもたちが自分と親とのつながりに気づ
くかもしれない。親の見守る姿が浮かぶ子供もいるだろう。
○この作品は、全体として、ほのぼのとした温かさを感じさせる作品である。
➡温かさは「おかみさんの人柄」と「たぬきの健気さ」からくるのではないか。
「ほのぼのとした」雰囲気がわかる。
「ほのぼの」は、明るさ、あたたかみから受ける印象。
人の心を和ませる雰囲気が感じられる作品である。
○夫のしかけた罠にかかったたぬきをためらわずに逃がしてやるおかみさんの気持ちが人間的なものとして読み手に伝わってくる。
➡ここで夫を悪者にしない。
山の中の生活を脅かすたぬきだと考えているのが普通である。
〇「おかみさんの糸車」が「たぬきと糸車」に変わり、
やがて、「たぬきの糸車」に移っていく楽しさ、おかしさ、そして、かわいらしさ、さらには、愛しさが作品からにじみでてくる。
➡「の」「と」「の」の文字の意味するところを考えさせる。
次回は 段落ごとの解釈