教育随想 1080回 過程とばしで、子どもの学ぶエネルギーを増幅
かりやすい授業・親切な授業
どの子にも一定の理解を求める授業です。
落ちこぼれのないように、スモールステップ式の学習を設定します。
あるいは、学習内容の難易度を下げて学習させることもあります。
子どもたちがつまずかないように、悩まないように簡単にします。
もちろん結構なことです。
大切なことです。
子どもたちの学習意欲を失わないようにするためです。
しかし、この一手でいくと、授業に覇気がなくなってきます。
子どもの学ぶエネルギーが減退してきます。
子どもはエネルギーがとても豊かです。
全力投球の場を待ち望んでいます。
あまりにも易しい問題投入、実力に合わない難問投入。
どちらも「やる気」を失います。
授業においては、子どもたちを親切丁寧に導かない。
子どもたちに応じて壁をつくる。
登山の面白さは難所を乗り越える楽しさであるように、学習においても小さな難所を用意する。
理解過程が5までのステップがあるとすると、1-3-4-5と2のステップを抜く。
学習課題設定の1のステップも抜くこともある。
学習課題を見つけるまでは、次に進まない。
いずれにしても、過程をぬくことで、より子どもたちの学ぶエネルギーは増幅される。
算数 「円の面積は長方形の面積の公式を使えば求められる」
2時間かけて個人学習、班学習 どの班が解決できるか競う。
理科「黒板をたたく。どうして音が伝わるのか追究しよう」
空気の振動をみつける。
社会「自治会館・公民館は必要か 必要でないか」
地域のあり方を考えるきっかけづくり
このように、課題をあげて、あとは、子どもたちに任せる。
最初は個人学習から始める。そのあと、班または班相互学習(班の合体)へとうつる。
学習場面に限らず、生活全体において、常に、子どもの力量に見合った、全力発揮の場を用意することが大切です。
こうしたことが可能になるためには
一人ひとりの発達をキャッチしておく。
一人ひとりの個性を把握しておく。
子どもに最適な課題を常に準備しておく。
こうして細かい配慮によって、子どもたちは全力投球の経験を味わえるようになります。
そこに、充実感と成長の喜びを味わえます。
授業の学びのステップは ていねいにする。
授業の学びのステップは手抜きする。
この二つの間に、授業づくりの醍醐味があります。