教育随想 10回 教育のヒントは お店にあり
私は、若い頃から、スーパーマーケットに行くのが好きでした。そこで、学ぶことが教室や子どもの指導に生かすためのヒントがあるからです。
教育もお店も人間相手です。
人間にどのように対応していくかを実践する場所ですね。
スーパーマーケットに入店する瞬間(どのお店でも同じですが)が好きです。
入った瞬間の空気がすべての始まりです。
すっきり、清潔、明るさ、わくわく感などが感じられるかどうかです。
お店では、入ったところに野菜や果実を陳列しています。新鮮さや香りを醸し出すためです。
教室に入ったときの子どもの気持ちと同じです
野菜売場で、よく売れている野菜がありますが、昼過ぎに行くと、残りの野菜が散乱していることがあります。客が選んだあとの残り物という感じを与えます。私の好きな店では、たえず、店員が品物を丁寧に並べなおしています。
客の立場で品物を見ています。
陳列台の前で、ダンボール箱から品物をとりだして、欠品しかかっている品物並べています。しかし、そこは通路です。買い物に支障をきたすようではだめですね。
客に道を譲るという配慮がほしいです。
教室にも子どもたちが歩き回るとき、余分なもの、障害物が多くあります。角がでている棚、不用意においてある椅子などです。
一番気になるのは、レジ係りの私語です。
そのような時間があるのなら、レジをうつときに、一つ一つの品物に目配りしてほしいものです。
私語が店内の空気をどれだけ損なっているかを察知していく必要があります。飲食店でも、カウンターごしに座ると、料理をつくりながら店員同士の私語が交わされていることがあります。
料理に集中していない証拠です。
私が好きな農産物のスーパーでは、たえず、店員が品物を並べなおしています。ですから、いつ行っても、品物が今、入荷しましたよという印象を与えます。
近くに大きな農産物の店があるのですが、昼ごろに行くと、それぞれの野菜が台の上で無造作に転がっています。
その店は、10分でいける場所なのですが、そこには行かずに、30分かけてとなりの町まで買い物に出かけます。
お店は、品物を客に売るのが仕事です。
先生も、子どもたちに勉強(夢・希望・自信など)を教えることが仕事です。
必要最低限のことをすればいいのでしょう。しかし、そこまでしなくてもいいのにというお店があることも事実です。客の立場で考えている店ですね。
教室も同じです。
勉強ができるための椅子と机があればいいです。
しかしながら、その勉強が気持ちよく、落ち着いた環境でできるようにすることはさらに大切です。
教室のにおい、目に入るもの、耳に入るきしみ音などに注意を配ります。
一人一人の座席に座ってみると、余分なもの、すっきりしないものが多く見受けられます。
色あせた目標の掲示物。黒板の周りのよけいなもの、勉強している時に子どもたちは、それらを目に入れているという事実。
机のへこみきず。書きにくいので埋めておきます。椅子のガタガタ、なおしておきましょう。
そのように子どもの立場で考えると、自分の配慮のなさを感じました。
教室は先生にとっても子どもにとっても、安らぎであり、修行道場でもあります。
毎日、見慣れてしまうと、無関心になってしまいます。
しかし、今の教室の姿は、先生や子どもの気持ちを具現化しています。
放課後、他教室をのぞいてみてください。
その様子から、子どもたちの活動ぶり、意識の仕方などが目に浮かぶはずです。
それを自分の反省としてとらえていきます。
教室の姿が先生自身の姿です。
教室の姿が子どもたちの姿です。