教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1053回 子供に厳しすぎると? 保護者から

子供の指導を厳しくする。
厳しく指導する時はあります。
指導が厳しすぎるということで保護者からクレームが上がっています。
学校の話です。(相談を受けて)


3年生の学級です。
担任の先生の指導が厳しすぎて、学校に行きたくないという子供たちが増えているとのことです。
どんなところが厳しいのか全体像はわかりません。
しかし、周りの先生の話によると、
子供に対する口調、指示の仕方がきつい。
話を聞かなかったら強く叱責。
一回しか話さないからよく聞きなさいと強く脅しをかける。


「どうして行儀が悪いのよ。前を見なさい」強く叱責。
学習がわからなかったら「こんなものどうしてわからないの」
「宿題をしないからわからなくなるのよ」


とにかく、指導に温かさがないようです。
指示してできないことがあると、「子供が悪い」と一方的に責められるようです。


さて、厳しく指導することは大切な指導のあり方のひとつです。
しかし、そのことが子供たちに受け入れられていないのでは無意味な指導です。


どうして子供たちが先生の話を聞かないのか。
どうして、先生の指示に従えないのか。
どうして宿題をしてこないのか。


その原因の追及がありません。
すべては、子供のたちの能力不足。
子供たちの家庭環境の問題。
保護者の育て方の問題。
こうして、子供たちの失敗を子供のせいにするという考え方です。
どうして、そこに、指導者としての自らの振り返りはないのでしょうか。


子供たちが話を聞かないのは、先生としての話し方、聞かせ方が未熟であると考えないのでしょうか。
指示が通らないのは、先生が子供に納得、説得できる力が不足していると考えることがあってもいいはずです。
宿題をしてこないのは、先生の授業がつまらないからと疑ってもいいです。


もちろん、先生だけが原因ではありません。
子供自体に能力、性格に問題がある場合もあります。
しかし、それを承知の上で子供を指導しているはずです。


その学級の先生は、校長先生に呼ばれて、来年は学校をかわったらどうかと言われたそうです。


厳しさは、先生と子供との距離が近くなった時に成り立つ指導です。
ぼくを大切にしてくれる先生の言うことだから、少し厳しくても聞いてみようと納得します。


先生の権威だけで指導(指導ではなく単なる指示・命令)すれぱ、子供たちは先生から遠ざかっていきます。
「先生」という肩書は、いつのまにか「先生が言えば子供は従う」
「従うべきである」という驕りに変わっていきますね。

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