教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1047回   ノートは 学びの足跡

タブレットの上にだいたいの字(漢字も含めて)を書けたらよしとする。
現場の先生が「漢字をしっかりと書けなくても形さえあっていればよしとする」ことに疑問を持たれていた。
その学校では、百字練習をやめようという方向になっているそうだ。
したがって、漢字の止めやはねは許容範囲だという。


文科省の指導書には、漢字の字形を大切にする指導が書かれている。
社会生活においては、だいたいの字形があっていればいい。
どんな漢字がわかればお互いに理解できる。


しかし、漢字の基礎である小学校において、正確な字形を教えなくていいのだろうか。
漢字は文化である。
祖先が中国の漢字をもとにして、現在の漢字、ひらがな、カタカナを伝えてきた。
文化は正しく伝えるべきだと考える。
運用については、慣習に任せていいだろう。


書くことは、目から入れて考えることである。
今の子供たち、社会は、映像の世界である。
耳から入れて学習することも多い。
だからこそ、脳における学び方として、目から入れて手を使って文字にして目から出すという学びも必要である。


書くことは考えることである。
ノートのはたらきは大まかに4つある。
①考えるはたらき
 文字を通して考えることが基本であると考える。
 「書いて考えなさい」「考えながら書いてごらん」
発言前に自分の考えを文字にしてみることも必要である。


②まとめるはたらき
 学んだこと、調べたことは文字化する。
 そのまま書くのではなく、できれば構造的に書けるように訓練する。
 構造的に書くためには、図、矢印、絵を入れて関係を明らかにする。


覚えるはたらき
漢字練習であったり知識内容であったり、書いて目から入れる。
書きながら読みながら文字化する。
百字練習は覚えるのが目的なのに、書写の(写す)勉強になっていることも多い。


記録・メモするはたらき
友だちの意見を記録する。
メモしながら先生の説明を聞くという習慣は実生活において必要である。
聞きながら聞いたことの要点をメモする技術。
これは日々の訓練が大切。


先生方のなかにも児童の記録をコンピュータのなかで文字化しておられ方も多い。
書くことで自分の考えや思いのあいまいさが見える。
書いたものを見直して、その問題点や見落としていたことがわかる。


学校生活において、子供たちに書く時間をとる。
連絡帳メモ、感想文として、考え方の過程を追って記録する。
そのためには、ノートをたくさん使いたい。
ノートが学びの足跡になるようにする。

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