教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1042回 「働き方改革 担任の先生は3人」???

ある小学校の取り組みの記事。
その中からいくつかの文言をとりあげる。


・・担任の先生は3人です。新しい取り組み・・・その名も「チーム担任制」「早く帰れる」先生たちの働き方改革。
学年2クラスを3人の先生が担当する。
学級担任1組と2組、そして学年担任で3人のローテーションを組む。
一週間交代で担任が変わる。


教科担任制をひいて、教科を分担する。
二クラスが授業している間は、一人の先生の手があく。
その先生がクラスの宿題の添削や他の業務をこなす。
事務を分担できるので、家での持ち帰りがほとんどない。


担任の声
3人の意志疎通を徹底し、クラスの指導方針を合わせることでチーム担任制がうまく進む。
子供からの相談もこの悩みはこの先生に、この悩みはこの先生にというのが子供にとってすごくいいかなと思う。
単純に心強くて、自分が一つのクラスの責任を持つと孤独感を感じるがみんなでやっているので本当にありがたい。…以上が現場の先生の考え。


私はこの記事を読んで、なんとも言えない気持ちになった。
先生の働き方改革が「勤務時間」という視点のみで語られていることが以前から気になっていた。
もし、これが救急医療の現場だとしたらどうだろうか。


先生の事務、仕事は多い。
教材研究をしたら、きりがない。
夜遅くまで取り組むことが多かった私からすれば、それで子供の指導は大丈夫だろうかと危惧する。
授業で子供を育てることができるのか。
教材を提示して教えるだけの学習にならないのか。


働き方改革で欠落しているのは、求める子供像である。
どんな子供に、どのような方法で具現化していくのか。


今まではそれができなかったから働き方改革の提案がでてきたのか。
子供をどのように育てるかを核とした働き方改革ではないか。


ここでもっとも気になることは、担任が3人になるということは、
子供たちから見ると、常に、三人の先生は比較されているということ。
授業の雰囲気、指導の仕方、接し方、表情の良し悪しなど、子供たちに比べられて評価されている。
そのことを踏まえての働き方改革なのだろうか。


今までは、子供たちは、授業において、一人の先生で我慢していたことが、三人の先生の相対的評価をすることになる。


働き方改革の実践が、いいか悪いかどうでもいい。
そこで、子供に学力と人間性が育つならなんでもいい。
教育のめざす目標がぼやけるようにならなければいい。
教育という本来の営みから遠のいていくように思える。

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