教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想 1039回 4年「熱の伝わり方」 正解よりも正解の周りの真実へ

前回は、金属棒の真ん中を熱したときの熱の伝わり方であった。
今回は、「熱する棒を傾けて棒の中央を熱する」問題である。
こうなると混乱する子供がいる。


熱を粒のようなものと考える子は、傾けると熱は上にあがらないと考える。
逆に、室内でストーブをつけると、上の方の空気のほうが暖かくなる。
風呂の場合も同様である。
だから、熱が上へ、下への両極端の子供がてでくる。


概念とは、常に、普遍的なものである。
概念化するには、自分の予想が外れることである。
思考の試行錯誤を繰り返すことが必要である。

それを知識として理解させようとするところに科学的思考が衰退する。


問題2 かたむけた棒の真ん中を熱したら、熱はどのように伝わるか。


予想(予想の選択数を板書)
★全体の予想分布を全員にわかるようにしておくことで、子供たち
 は不安になったり得意になったりする。(心理的な影響を与える)


 ア 上下、同じように伝わる ➡熱移動は傾きに関係なし
 イ 上の方には伝わるが、下には伝わらない ➡熱移動は風呂のメージ
 ウ 下の方に伝わるが、上の方には伝わらない➡熱には重さがある
 エ 熱しているところだけ伝わり、上には伝わらない。
 オ その他


討論
①それぞれ予想した理由を発表する。
②討論に入る。
 ★アの考えは違うと思う。理由は  という形式(結論➡理由)で展開する。
 ★討論はすぐに全体ではなく、班で展開させる。
班を活用する理由は、
  自分の考えを友だちと比較して再考するためてせある。(納得と修正)
◎班の話し合いの活用の仕方は、授業者にとってタイミングが必要。
子供たち全員が自分の考えをしっかり持っていて発表したいという意欲が表れているときは班の話し合いを省略する。
子供たちが自分の考えにはっきりと自信を持てないときに活用する。


ゆさぶりをかける
子供たちの討論で意見が偏っているとき、小数意見の子供に先生は味方する。
アイの意見が拮抗するだろう。
指導者は、風呂の湯が上の方があたたまり、下が冷たいことなどの例を挙げて、子どもたちを揺さぶる。
揺さぶられた子供の予想変更を認める。
自分の考えがあいまいであると揺さぶられ変更する。


実験
子供たちの意見が分かれて、どうしても自分で確かめたいという意欲が強いなら児童実験を実施。
その時には、実験計画をしっかりと立てさせる。
実験は厳正なものである。
正確に結果がでるように準備する。
結果がでてから「本当は結果のようにならないのだよ。教科書のとおりです」
という先生がいる。
実験の意味がわかっておられない。


棒を傾ける
棒のちょうど真ん中にガスの炎があたるようにする。
棒の長さを測って真ん中になるようにする。
さらに
熱の伝わり方の速さを問題にしない。
両方に伝わるかどうかである。


結果
ノートには見たままを正確に書く。
「かもしれない」という推測を欠かせない。
科学は事実から始まり事実で終わる。


考察
①結果からどのようなことがわかるのかをノートに書く。
②わかったことを発表する。
③わかったことを全体で共有する


熱の伝わり方に棒の傾きは関係ないことがわかる。
熱した部分から同じように熱が伝わっていくことがわかる。
さて、理科の学習はここからが大切である。
いや、理科だけではない。
学び得た結果で終わるのではなく、その結果のまわりの真実を確かめることができるようになったら本物である。
知りえた結果からさらなる疑問が生まれること。
こうしてみたらどうか、さらなる実験を模索すること。
学びは終わらないことに気づかせる。


子供たちは次のような疑問に発展させる。
棒の傾きをを大きくしたらどうか。
棒を垂直に立てたらどうなるか。

討論が活気を帯びてくる。


ここからは、師範実験がよい。
子供では、厳密な実験ができない、危険が伴う場合し師範実験にする。

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