教育随想(授業づくり・集団づくり・児童理解)

実践、反省、さらに実践・・・

子供たちを相手にして、悩んだり迷ったりしている先生に読んでいただきたいと思っています。
迷うことが、悩むことが先生の良心であり、最も大切な能力ではないのでしょうか。
 わかったことよりわからないこと、できたことよりできなかったことに 心を向けていく先生は 素敵だと思います。

教育随想1038 回 4年理科 「もののあたたまり方」 予想理由に付き合う

理科の学習の場合、
疑問⇒予想⇒討論⇒実験⇒結果⇒考察➡疑問の手順で進められる。
そして、この問題解決過程のどこに力点をおくのか、どのような科学的能力を育成したいのかを明確にする。
科学的な思考は手順を大切にする。
実験結果を知識として覚えておきなさいではだめである。


4年 理科 「もののあたたまり方」  
学習指導においては、予想、討論の過程を重点的に指導する。
その理由は、教材が問題を作成するのに適しているからである。
指導者の問題提起から始める。
実践例をもとにして話を進める。


問題は7つを提示する。
1.単元目標
○金属は、熱せられた部分から順にあたたまる。(熱の伝導)
○水や空気は熱せられた部分が移動して全体があたたまる。
(熱の対流)
2.展開の角度
○熱エネルギーの移動は見えないものである。それを視覚で捉えられるようにする工夫が必要である。
○子どもたちは、「熱がある」「冷たい」「あたたまってきた」など、熱については、日常生活の中で十分に感じ取っている。しかし、エネルギーとしては、とらえられていない。
○問題形式で、子どもたちに予想⇒推理⇒実験⇒結果⇒考察の手順で学習を進めていくようにする。
○言葉で説明することを極力控え、実験事実から概念を形成させるようにする。
※熱についての科学的背景
  熱は、191世紀において、「熱素」の流れとしてとらえられていたが、やがて、熱は、物質ではなく、熱運動としてとらえられるようになってきた。
 分子の熱運動が高温の物体から低温の物体に伝わるのが熱エネルギーである


○金属の棒の熱伝導・・・熱した部分から順に伝わることに気づく。(伝導)
問題 1  水平にした棒の真ん中を熱したら、熱はどのように伝わるか
予想   ア 熱は、左右、同じように伝わる。
      イ 熱した所だけあつくなる。
      ウ 熱は、右だけ伝わる
      エ その他


指示   ①問題になる図を書く。
      ②自分の予想を選択して、その理由を書く。
      ③熱の伝わり方がわかるようにノートに図示させる。


留意点 〇予想をするもとになるのは子供たちの体験であるが、今の子供
       たちにはこのような経験はない。
      〇しかし、目に見えない熱を子供たちはどのように考えているか
       を確かめることができる。
     〇予想する時に、全体の子供たちの予想の分布を明確にするため
      に挙手させて人数を板書する。
      予想がどこに偏るかを見る。
   ◎水平にした棒の中央を熱する時、子供によっては、熱は右に伝わり
     棒の端にぶつかり、それから左のほうに伝わっていくと考える子供
     がいるからおもしろい。
   ◎熱は動かない。動いても少しだけと考える子もいる。


決して大人の感覚で、このような子供たちの考えを切らない。
むしろ、そのような考えを周りの子供にぶつける。
そして、子供たちの考えを揺さぶる。
全く揺れない子もいるが、少し動く子供がいる。


予想発表 それぞれ予想した選択肢とその理由をたずねる。(数名) 


留意点 
金属は熱せられると熱くなることを日常的に知っている。
ただ、同じようにではなく、片方に伝わりそこから熱が戻ってくると考える子もいる。
熱を粒として考えている。
科学史で見られる「熱素」のような考え方をする子もいる。


実際の実験は、師範実験にするか児童実験にするかである。
児童実験をするように教科書は提示しているが、予想、討論を中心とした授業においているので師範実験とする。


結果 見たことをそのまま書かせることが大切。
    個人の意見や感想は書かないようにする


考察
①結果からどのようなことがわかるのかをノートに書く。
②わかったことを発表する。
③わかったことを全体で共有する。
留意点
事実をどのように解釈するか問題になる。
誰もが納得することを共有する。
そうでないものは、保留
考察からの疑問も出させてみる。


実は、ほとんどの子供は正しく予想する。
ところが次の問題2になると違ってくるからおもしろい。
次回へ

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