教育随想1027回 なかよしの子供を取り巻く子供たちの変容
勉強会でなかよし学級を担任している先生のお話です。
・・・5,6年生を担任している二人の男の子のことです。
5年生の子どもが授業を受けるために、交流学級に付き添って
行く時のことです。学級の中に入ると、他の子どもたちが私の
そばに寄ってきて、「Y君、発表がんばっていたよ」「運動会
のリレーの練習、張り切っていたよ」など、彼の良い面を伝え
てくれます。誰もがY君を好意的に受け入れてくれています。
ところが、6年生のA君の場合は違うのです。
彼が交流学級に出向いていも、いてもいなくても関係ない、
空気のような存在です。それはそれでいいと思ったのですが
周りの子どもたちを観察していると少し違うのです。
運動会の練習で下からシャツがでていてもだれも気付かない
ようです。指示にしたがって動くときも、周りの子がフォロー
することはありません。会話もありません。いつも独りぼっち
です。・・・・以上なかよし学級担任の先生のお話から
いろいろな見方があると思いますが、私の経験から言いますと交流学級の担任の学級経営に問題があります。
なかよしの子どもがその学級に仲間として存在することで、他の子どもたちの考え方や姿勢が変容していくかどうかです。
よくある指導として、なかよしの子どもに声をかけさせたり親しく接するようにと担任が指示していることが多いです。
子どもたちは、担任の手前、なかよくしている「ふり」をするのです。
もちろん、すべての子がそうではありません。
私の実践は少し異なりました。
なかよしの学級の子どもに対して、どうすべきかという指示をだしません。
その周りのこどもたちがやさしくなればいいのです。
お互いに相手の立場にたって考えられるように指導します。
学級全体が楽しくなればいいのです。
そうすると、その中にいるなかよしの子供は、自然に溶けこみます。
なかよしの子どもに取り立てて「なかよくしなさい」「やさしくしなさい」という指示は不要です。
その子を取り巻く他の子どもたちが仲良くなるように指導すればいいのです。
三か月もあれば、自然に学級の一員として存在感を示します。
先生が強く指示すると、なかよしの子どもをいつまでも「ゲスト」として接するだけです。
ゲストとしての壁がくずれることはありません。
これは、学級に大きな問題を抱えている子どもがいる場合も同じです。
その子の周りの子どもたちをやさしさくしていけばいいのです。